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コロナでまた犠牲に…大企業は非正規社員を切っても、自民党を切ることはない【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#12

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月8日 9時26分

コロナでまた犠牲に…大企業は非正規社員を切っても、自民党を切ることはない【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#12

経団連歴代会長はみな自民党大会で挨拶(日立製作所・中西宏明氏=2019年撮影)/(C)日刊ゲンダイ

【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#12

 非正規への追い込み30年(5)

  ◇  ◇  ◇

 2008年のリーマン・ショックでは、「派遣切り」が横行した。トヨタの奥田碩が経団連の会長を務めていた04年、製造業への派遣労働が解禁されたことが響いた。

 09年に誕生した民主党政権は、翌年に労働者派遣法の改正法案を提出する。製造業への派遣と登録型派遣の禁止が目玉だ。登録型派遣とは、派遣会社に登録しておいて、派遣先で仕事がある時だけ雇用されるというものだ。

 だが野党となった自民党の反対に遭う。12年に成立した法改正では、製造業への派遣と登録型派遣の禁止が抜け落ちた。自民党が反対した理屈とはどういうものなのか。12年3月27日の参院厚生労働委員会で、衛藤晟一が述べている。

「製造メーカーに対するアンケート調査の結果によりますと、約7割のメーカーが製造業への労働者派遣の禁止により失業者が増加すると回答し、国内の製造業が衰退すると回答したメーカーが約6割、それから産業の空洞化が加速すると回答したメーカーが約5割います。特に中小企業では、人材確保に困難を来し、生産レベルの縮小や倒産に至る企業も増加することも懸念されています。製造業派遣を禁止するような措置を行えば、日本の製造業は沈没しかねない」

 8年後の20年、コロナパンデミックが起きた。企業にとっての雇用の調整弁として、非正規労働者が先に切られていった。自民党が法改正を骨抜きにしたことにより、リーマン・ショックの時と同じことが繰り返されたのだ。

 20年の自民党への献金額トップ3は、1位がトヨタの6440万円、2位が日立製作所の5000万円、3位がキヤノンの4000万円だった。いずれも、経団連の会長を出している。トヨタは奥田碩が02~06年、キヤノンの御手洗冨士夫が06~10年、日立製作所の中西宏明が18~21年に務めた。

 非正規労働者が失業し生計のめどが立たない中、大企業はいつものように自民党への献金をしていたわけだ。兆円規模の売り上げがある大企業にとって、金額は微々たるものだし、自民党はホイホイと言うことを聞く。安い買い物だ。非正規は切っても、自民党を切ることはない。=敬称略(おわり)

▽渡辺周(Tansa 編集長)日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!

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