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配食サービスはもろ刃の剣? 頼りきる前に考えるべきこと【親を要介護にさせたくない】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月8日 9時26分

配食サービスはもろ刃の剣? 頼りきる前に考えるべきこと【親を要介護にさせたくない】

写真はイメージ

【親を要介護にさせたくない】#16

 高齢者世帯への配食サービスは、買い物や調理が困難、ひとり暮らしなどのケースで利用されることが多い。介護保険の適用外ではあるものの、街の弁当店並みの費用で必要な分のみ家まで配達してくれる。配達が見守りや安否確認につながることから補助金を出している市区町村もあり、在宅高齢者福祉の一環として広く認知されている。

 普通食はもちろん、糖尿病や高血圧など生活習慣病に対応したメニューがあり、週に3回など利用回数も自由に選べるので、親の介護問題を考えたことのある方なら、一度は利用を検討したことがあるだろう。筆者も実母や義父がひとり暮らしになった時、この便利な制度を使わない手はないと、1週間のお試しで昼と夕の2食分を申し込んだ。

 その初日、ふたりの感想は「おいしかった」「全部食べたよ」と好評だった。よし、しばらくはこれで心配事が減ると思った。が、3日後に感想を言わなくなり、5日目には「もう頼まなくていい」と言い出した。何が気に入らなかったのか? 

 聞くと、プラスチックの容器に入ったいかにも弁当な見た目。配達時にすでに冷めている。副菜の味付けが全部同じ。食べつけない揚げ物が多い。ご飯の食感が気に入らない。直前に電子レンジで容器ごと温めると、ご飯もおかずも主菜も副菜も全て同じ温度になるのが味気ない。次から次に文句が出て、「お金の無駄」「自分の好きなものを食べたい」と不満をぶつけられた。

 正直な話、最初はその意見にカチンときた。何とか続けてみないか説得しても拒絶された。自分で買い物や料理がほとんどできないでしょ? と意見しても頑固に「何とかする」と言い張った。仕方なくその後しばらく好きなようにさせると、季節の野菜で煮物や味噌汁くらいは作り、たまに買い物に行くとスーパーの総菜コーナーでコロッケや唐揚げなどを買ってきていた。

 それじゃ弁当の中身と変わらないじゃないかと突っ込みたくなったが、後日、筆者も試しにコンビニ弁当を続けて食べてみたところ、確かにすぐ飽きた。昼ならともかく、夕食まで弁当が続くとうんざりすることに気づいた。

 しかも、親たちはこれを孤食。つまりひとりで食べているわけで、食事中の会話もない。嫌がるのも無理はないと悟ることができた。この話を同世代の友人たちにすると、実はウチも……、とうなずかれる確率が高かった。結論として出てきたのは、自分で何とか買い物や料理ができるうちは、毎日配食サービスを頼むことは避け、せいぜい週に2回程度に抑えること。実家に行くことができる日は、できるだけ一緒に食事をする機会を増やし、家族だんらんの象徴でもある食卓を賑やかにすることだった。その際、無理に食卓を豪華にする必要はない。たとえ買ってきた弁当でも一緒に食べてくれる人がいると、親たちの食欲はいつもよりずっと旺盛だったからだ。

 あくまで筆者の身の回りの話ではあるが、これから配食サービスを導入しようと考えている方は「そういう話がある」くらいの記憶にとどめてもらえれば幸いだ。

(西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)

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