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野球賭博で永久追放ピート・ローズの意外な素顔…酒、たばこどころか、自分の顔がラベルのソーダ水も飲まず(鈴村裕輔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月9日 11時32分

野球賭博で永久追放ピート・ローズの意外な素顔…酒、たばこどころか、自分の顔がラベルのソーダ水も飲まず(鈴村裕輔)

故ピート・ローズ氏(C)AP=共同

【メジャーリーグ通信】

 誰からも愛され、誰よりも憎まれた野球人、ピート・ローズが先日、83歳で死去した。

 1963~86年に大リーグに24季在籍して、23年連続100安打以上を記録し、200安打以上も10回達成するとともに、一塁、二塁、三塁、右翼、左翼と5つの守備位置でそれぞれ500試合以上に出場するなどいくつもの史上唯一の記録を保持するのがローズだ。

 新人時代に全力で疾走する様子から「チャーリー・ハッスル」(がんばれ、チャーリー)と呼ばれ、これ以降、これがアダ名になり、常にもう1本の安打、次の塁を狙う姿が多くの観客の共感を呼ぶことになる。

 また、ローズ自身も常に最高の状態を保つために節制に努めていた。喫煙や飲酒はせず、自分の顔を印刷したラベルが貼られたソーダ水が売られていても、ローズ本人はミネラルウオーターを飲んでいた。

 あるいは、誰よりも早く球場に到着して練習を行う姿は現役中、変わることはなかった。

 ローズが「安打王」と呼ばれ、球史に残る数々の記録を打ち立てられたのも、精神と肉体の強靱さの結果であり、野球選手の手本ともいうべき存在だった。

 だが、レッズの監督在任中に自らのチームを対象として野球賭博を行っていたことが発覚し、1989年に球界から永久追放となったことで、ローズは野球人としての名声を失う。

 当然と思われていた野球殿堂への選出は、処分によって資格を喪失している。コミッショナーが交代するたびに処分の解除を求める書簡を送り、「自分にとって野球殿堂が何であるか毎日考えている」と名誉の回復を渇望する気持ちを書き記したものの、生前にはいずれも実現しなかった。

 殿堂入りした選手の中には「彼が選ばれるなら自分は殿堂を出る」という者もいたのだから、ローズの復権は非現実的であった。

 さらに、イチローが2016年に日米通算4257安打を記録した際や今年3月に大谷翔平(ドジャース)の元専属通訳による違法賭博問題が発覚すると、報道陣の取材に対して「日米合算に意味はない」「1970、80年代に通訳がいれば無罪放免だった」と発言しており、ローズの奔放ともいえる態度が注目されることになった。

 ただ、出身地シンシナティで経営していたレストランで、従業員が「ハッスル 14」と自らのアダ名と背番号を染め抜いた制服を着ていたのは、著名な選手が過去の名声に頼った結果ではなかった。むしろ、野球そのものへの愛情の強さと、野球こそが存在意義を証明するものであるというローズの変わらぬ姿を示していた。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

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