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三菱自動車が日産・ホンダ連合と合流する必然…車載ソフトウェアの共通化がカギ【企業深層研究】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月9日 9時26分

三菱自動車が日産・ホンダ連合と合流する必然…車載ソフトウェアの共通化がカギ【企業深層研究】

大変革時代を乗り切れるか(三菱自動車本社)/(C)日刊ゲンダイ

【企業深層研究】

 三菱自動車(上)

  ◇  ◇  ◇

 三菱自動車にとって2024年度は将来を左右する重要な年になりそうだ。8月に日産自動車、ホンダと戦略的パートナーシップ検討の覚書を締結し、現在、具体的な提携内容を詰めている。

「電動化と知能化といった技術革新によって変化が激しい今日の自動車業界において、パートナーとの協業は不可欠」と加藤隆雄社長は話しており、三菱自が日産・ホンダ連合に合流するのは必然だった。

 かつて1990年代前半には、業績好調の三菱自が販売低迷のホンダを吸収合併するという話が浮上したが、90年代後半になると状況は一変。不祥事、業績低迷、リストラを繰り返し、16年に日産の支援を受けることになったのだ。

 しかし、その後も業績はなかなか上向かず、21年3月期には3000億円を超える最終赤字を計上した。そのうえ、長い間、人材流出が相次ぎ、研究開発費も大幅に削減された。例えば、20年度に行った早期希望退職者の募集では、550人の計画のところに654人もの応募があった。また、早期希望退職の対象ではない45歳未満の若い世代の離職も少なくなかったそうだ。

 そんな三菱自が100年に1度といわれる自動車業界の大変革時代を生き残っていくには、他社との協業に頼るしかないわけだ。

 今後、クルマを制御する車載ソフトウエアは、3社で共通化する方針だ。それは、日産とホンダが共同開発した基本ソフトを、三菱自の車両に搭載することになるだろう。

 車載ソフトはクルマと外部との双方向通信機能を使ってソフトを更新し、販売後もクルマの性能を向上できるというもので、次世代車の競争力を左右するといわれている。ただ、その開発には膨大な費用がかかり、三菱自としては2社が開発したものを導入すれば、経営資源を得意のプラグインハイブリッド車(PHEV)など電動化分野に振り向けることできる。

 3社の協業には車両の相互補完も視野に入っていて、三菱自のPHEVを、日産やホンダにOEM(相手先ブランドによる生産)供給されることが考えられる。現在、バッテリーEVの需要が踊り場を迎える一方で、PHEVの存在感が増しており、三菱自はこの変化をチャンスととらえている。

 また、3社とも軽自動車を販売していて、そこでも連携が行われる可能性が高い。特に軽自動車のバッテリーEVではメリットが大きそうだ。

 クルマの開発について、加藤社長は「三菱自動車らしいクルマ」と強調しており、6月の株主総会で何度もその言葉を口にした。

 その定義は「環境×安全、安心、快適を実現する技術に裏付けられた信頼感により、冒険心を呼び覚ます、心豊かなモビリティーライフをお客さまに提供すること」だそうだ。

 加藤社長がその代表と話す軽自動車「デリカミニ」は確かに乗り心地などが高く評価され、登録自動車からの乗り換えも多い。販売台数(24年1~8月)も前年同期比約90%増の4万台超と好調だ。

 しかし、24年4~6月期の三菱自全体の通期販売台数は19万4000台と前年同期に比べて1%減で、三菱自らしいクルマと販売台数がうまく結びついていない感じだ。

「24年度は成長に向けた打ち手をいっそう具現化していく」と加藤社長は意気込む。3社連合が「弱者連合」と揶揄されている中、具体的な提携内容をはじめ、成長に向けた戦略を早く打ち出す必要がある。=つづく

(経済ジャーナリスト・山田清志)

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