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三菱自動車のPBRは“赤点”…ASEANの需要低迷で業績不振に【企業深層研究】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月10日 9時26分

三菱自動車のPBRは“赤点”…ASEANの需要低迷で業績不振に【企業深層研究】

成長の道筋を示せるか(加藤隆雄社長)/(C)共同通信社

【企業深層研究】三菱自動車(下)

 三菱自動車は現在、中期経営計画「チャレンジ2025」を進行中で、その2年目にあたる。数値目標は2025年度に販売台数110万台、1台当たり売上高250万円、営業利益2200億円、営業利益率7%を目指すというものだ。

 また、グローバル市場を「アセアン・オセアニア」「中南米、中東・アフリカ」「日本、北米、欧州、中国」の3つに分類し、各地域の役割を明確化したうえで収益基盤の強化を図っていく。具体的には、アセアン・オセアニアについては、成長ドライバー地域と位置づけ、事業中核地として経営資源を集中して、台数、シェア、収益のすべてにおいて拡大を目指す。

 中南米、中東・アフリカはレバレッジ地域とし、アセアン向け商品を最大限活用して事業展開を進めて第2の柱に育てる。

 日本、北米、欧州、中国については、先進技術推進地域として、アライアンス・協業パートナーを活用して先進技術化を推進していく。

 しかし、中国については、販売不振から中国メーカーとの合弁を解消し、ガソリン車の生産をやめて完全に撤退した。現在の日系メーカーの中国での苦戦ぶりを考えると、早めに撤退して正解だったといっていいだろう。

 中計初年度は、円安の追い風もあり、売上高が前期比13.5%増の2兆7895億円、営業利益が同0.2%増の1909億円となり、営業利益は過去最高を達成し、営業利益率も6.8%となっている。

 ところが2年目の24年度になると、状況が変わってきた。24年4~6月期の決算は、売上高が1.3%減の6275億円、営業利益が21.3%減の355億円と減収減益で、営業利益率も5.7%へと悪化した。同業他社の多くが円安で増益となる中、三菱自は日産自動車とともに蚊帳の外だった。

 しかも、成長ドライバー地域としているアセアン、特にタイとインドネシアが落ち込んでおり、厳しい状況に直面している。

「当社を取り巻く販売環境は厳しさを増している」(松岡健太郎CFO)とのことだ。

 そんな状況を反映して、株価も400円前後に落ち込み、PBR(株価純資産倍率)は0.5~0.6倍台である。東京証券取引所では、1倍超が望ましいとしており、三菱自は企業として“赤点”ということになるだろう。

 株価低迷の要因として、加藤隆雄社長はアセアンでの需要低迷と、将来に向けた投資や協業を含めた方向性が示せていないことを挙げる。そして、将来に向けた技術開発や投資案件の精査、アライアンスメンバーを主体とした協業の進化、拡大をとりまとめ、株主に理解してもらえるような将来に向けた成長の道筋を早く示したいと考えている。

 そんな一つが8月に発表した日産自動車、ホンダとの戦略的パートナーシップ検討の覚書の締結だったのだが、具体的なことがなかったため、株価を大きく上げることにはならなかった。

 また、今年度に定款を変更し、事業として発電、ならびに電力の供給・販売を追加した。愛知県の岡崎製作所にある駐車場に、1メガワット相当の太陽光パネルを搭載したカーポートを設置。地域の新電力会社を通じて岡崎市内に電力供給を行う計画だ。

 さらに、電動車に関連する事業でも、電動車に搭載された使用済みバッテリーを活用した可動式蓄電池を日立製作所と共同開発している。ただ、こうしたカーボンニュートラルへの取り組みはなかなか株価に反映されていないようだ。

(経済ジャーナリスト・山田清志)

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