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大会初日の夜、当時22歳の成田美寿々ちゃんに「1994年 菊花賞」の動画を見せた理由【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#5

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月11日 9時26分

大会初日の夜、当時22歳の成田美寿々ちゃんに「1994年 菊花賞」の動画を見せた理由【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#5

今年7月の試合会場でバッタリ(C)日刊ゲンダイ

【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#5

 中央競馬は秋のGⅠシリーズに突入! 今月20日には京都で3歳クラシックの菊花賞が行われます。そこで思い出すのは、成田美寿々ちゃんです。

 舞台は2015年のサントリーレディス。それまで何度か美寿々ちゃんのバッグを担いだことがあります。当時すでに6勝していたトッププロですが、2日目までは上位にいても、3日目以降に失速するイメージが強かった。初日から気合が入り過ぎるというか、競馬でいえば騎手との折り合いを欠く「掛かる」状態ですね。

 この大会も初日に63のビッグスコアでいきなりトップに立ちます。鼻息が荒くなっているんじゃないかと思い、その夜、電話したのです。

「美寿々ちゃん、明日も爆発的なスコア狙ってるでしょ。1994年の菊花賞の動画送るから見てよ。競馬の動画。ここで勝ったナリタブライアンは史上5頭目の3冠馬でね、最強やぞ。3000メートルの長距離は掛かったら終わり。前しか見ずに暴走したらゴールまで脚がもたない。レースみればわかるけど落ち着いて走っているから。同じナリタやろ! じっくり見てな」

 当時の美寿々ちゃんは22歳。普通なら競馬の動画なんて見たふりして終わりでしょう。でも、10分もしないうちに電話があり、「梅さん、レース見ました。今週、私はナリタブライアンになります!」と言うのです。出会ったときから性格が良くて、人間的にも魅力がある選手だと思っていましたが、これはますますトップ10で終わらせるわけにはいかないと、ボクも気持ちを引き締めた瞬間でした。

 美寿々ちゃんがトップをキープしたまま迎えた最終日。ここまで「まだだよ、まだだよ」と、行きたがる美寿々ちゃんの気持ちを抑えていました。 その間、同組のイ・ボミが猛追。15番のバーディーで1打差に迫ってきました。ボミはこの年7勝を挙げ、初の賞金女王になりました。この大会までは1勝2位4回3位1回。最強のライバルです。16番パー3のティーイングエリアに向かうまでは1分ほどかかります。

「美寿々ちゃん、ここが第4コーナーや。一気に突き抜けろ!」

「わかりました」

 16番のグリーン左には池があり、ピンは左から5ヤード。池の上に立っているように見えます。グリーンは硬くて速い。8番アイアンのショットはピン上3.5メートルのスーパーショット。バーディーチャンスのボミの数センチ内側につけました。このパットを沈めてガッツポーズが飛び出し2打差。ボミにプレッシャーを与えられたはずです。でも、次の17番でもドラマが待っていました。

(梅原敦/プロキャディー)

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