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小林すすむさんは「他人を思いやることが一番」の人 だからドラマのオファーが絶えないのだ(本多正識/漫才作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月12日 9時26分

小林すすむさんは「他人を思いやることが一番」の人 だからドラマのオファーが絶えないのだ(本多正識/漫才作家)

小林すすむさん(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#213

 小林すすむ

  ◇  ◇  ◇

 今やドラマ「踊る大捜査線」の中西係長役で知られる、小林すすむさん。私のような60代の者にはお笑いトリオ「ヒップアップ」のメンバーとしてのほうが認知度は高いと思います。

 スーさん(小林さん)とは30年以上前、深夜番組で半年ご一緒させていただきました。当時はグループから俳優さんのお仕事が中心になっていましたが、「THE MANZAI」や「オレたちひょうきん族」で大活躍された方なので、元気でにぎやかな方を想像していました。ところが、まったく違って、たたずまいは清楚な感じで、誰に対しても礼儀正しく、親切。楽屋でも進んで話を切り出すタイプではなく、聞かれたら答える、知っている話には邪魔にならないように参加される。押し出しの強い関西の芸人さんたちとの仕事が多かった私には「こんなにも静かな芸人さんもいるんだ」とちょっとしたカルチャーショックでした。

 静かといっても決して暗いわけではなく、いつもニコニコと人懐っこい笑顔を絶やさず「漫才書き」の私には「人を笑顔にする笑いって難しいよね」とお笑いの話もしてくださいました。

 そのポイントは4つ。「独り善がりにならない」「お客さんに丁寧に言葉を届ける」「たとえすべってもくよくよ引きずらない」「あとは自信を持ってやるだけだね」

 当時NSCの講師になったばかりだった私にはどれも刺さる言葉でした。

 強引に押し出さないけれど、自分の役割はきちんとこなして、バランスは崩さない。いらっしゃるだけで場が和やかになる本当に存在感のある方でした。だからこそ「踊る大捜査線」以外にもドラマのオファーが絶えなかったのだと思います。

 まず人のことを考えるエピソードをひとつ。

 収録が終わり軽い反省会をすませた午前2時前。局からホテルまでのタクシーチケットをプロデューサーが配られた時にスーさんが「先週の運転手さん、虫の居所が悪かったのか、行き先を伝えても返事がなくて、降りる時もありがとうございましたもなかったんですよ」と苦笑いで伝えられた。

 するとプロデューサーが「スーちゃんそれホンマか?」「はい、そうでした」の言葉が終わるか終わらないかのうちに、プロデューサーは顔を真っ赤にして怒り心頭。局の前にあったタクシーの営業所へ電話をかけ「プロデューサーの〇〇や。すぐ制作(フロア)に来てくれ!」と呼びつけ。

「おまえのとこの運転手は局のチケットで乗ってる客に返事もせえへんてどういう教育しとんねん。チケット調べたら運転手もわかるやろ。一緒にいきさつを話しに来てくれ。話によったら、おまえのとこのタクシーは局として二度と使わへん!」と激怒。平身低頭のタクシー会社の配車係の人を見ながら、スーさんが「余計なこと言っちゃったな。ごめんなさいね」と配車係の方に謝っておられました。

 次の週も到着されるなりプロデューサーに「運転手の方クビになったりしてませんよね?」「クビにはなっとらへんけど、局への出入りは禁止にしたよ」「収入、減らないかな……」「スーさん、あんたどこまで人がええねん!」とその場が大笑いになりました。

 他人のことを思いやることが一番だった小林すすむさん。天国でもみなさんと仲良くされていることでしょう。

(本多正識/漫才作家)

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