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「オピオイド」は死期が近いケースで使われる…は大きな誤解【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月12日 9時26分

「オピオイド」は死期が近いケースで使われる…は大きな誤解【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

写真はイメージ(C)iStock

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

「麻薬」と聞くと、なんとなく悪いもののようなイメージがありますよね? 世界保健機関(WHO)は麻薬を「昏迷・昏睡、痛みに対する無感覚を誘発する化学物質」と定義しており、医療で用いられる麻薬は主に鎮痛作用を目的としています。

 一方、法律上規制されている他の薬物も含めて麻薬という言葉が使われることもあるため、医療では麻薬性鎮痛薬やそれに構造が類似している合成鎮痛薬などを「オピオイド」と呼び、一般的に使われる言葉としての麻薬とは区別しています。

 オピオイドは、脳や脊髄、末梢神経に存在するオピオイド受容体に結合して、作用を発揮します。オピオイド受容体は痛みに大きく関係しているため、オピオイドは強い鎮痛作用を持っています。内臓痛や体動時痛などに用いられる一方、神経が傷つくことで起こるピリピリするような痛みには効果が期待できません。

 オピオイドの代表的な副作用として、便秘、吐き気、そして眠気が挙げられます。便秘や吐き気に対しては、下剤や吐き気止めといった対策ができます。眠気にはオピオイドの用量を減らすなどの対策が可能ですが、それまで痛みにより十分な睡眠をとれていなかったのが、痛みがとれたことで眠気が起こるという面もあるため、評価が難しいところでもあります。ただ、日常生活に支障を来すほどの眠気だとやはり問題なので、その場合には対処を考慮します。

 さて、みなさんは医療でオピオイドというと何を思い浮かべますか? おそらく多くの方が「がんに伴う痛み」に対して使われていると思うでしょうし、それで大きく間違ってはいません。一方で、がんはがんでも「死期が近いときに使われる」と考えている方も多いかもしれません。しかし、それは誤りです。

 がんによる痛みの治療は、がんのステージに関係なく行われます。なぜなら、痛みはわれわれにとってストレスでしかないからです。いきなりオピオイドが開始されることはまれですが、非オピオイド性鎮痛薬で効果が十分に得られない場合は、早期からオピオイドが併用される場合も十分にあります。ですので、オピオイド=死期が近いという考えは誤解だということをぜひ知っておいてください。

 ちなみに慢性疼痛に適応があるオピオイドもあり、がんでなくても処方されます。痛みはないに越したことはないので、場合によってはオピオイドをうまく利用していくことも重要なのです。

 少し余談になりますが、コデインリン酸塩もオピオイドに含まれますが、こちらは主にせき止めとして用いられ、含有量(濃度)が少ないものは市販のせき止めとしても使われています。オピオイドは意外と身近にあるんですよ。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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