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家族介護の光と影…親の介護と心理的苦痛の関係性を調査【役に立つオモシロ医学論文】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月13日 9時26分

家族介護の光と影…親の介護と心理的苦痛の関係性を調査【役に立つオモシロ医学論文】

家族による介護に過度に依存しない(写真はイメージ)

【役に立つオモシロ医学論文】

 長きにわたる家族の介護は、介護者の身体的な負担や精神的な消耗につながり、心理的苦痛の原因となる可能性が指摘されています。そのため、介護が必要な家族が亡くなり、介護生活が終わると、さまざまなストレス要因から解放され、心理的苦痛が軽減する可能性もあります。

 しかし、介護が終了した場合に、介護者の精神状態がどのように変化するかについて、質の高い研究データは限られていました。

 そんな中、厚生労働省が実施した「中高年者の生活に関する継続調査」のデータを用いて、介護者の心理的苦痛の変化を分析した研究論文が、日本疫学会誌の電子版に2024年9月28日付で掲載されました。

 この研究では、06年以降に親、もしくは義理の親の介護を開始し、21年までに介護を終了した8280人(平均63.1歳)が対象となりました。介護の終了から3年間にわたって追跡調査が行われ、研究参加者の心理的苦痛の変化が分析されています。なお、心理的苦痛は精神状態の不調を24点満点で評価し、5点以上と定義されました。

 調査の結果、心理的苦痛は研究参加者の36.6%で認められ、一般的な日本人口における24.9%よりも高いことが分かりました。研究参加者の介護期間は平均4.2年で、1日の介護時間は平均2.4時間でした。介護が終了した時点において、心理的苦痛を有する人の割合は、女性で5.6%、男性で1.9%低下し、その後も安定して低い水準を維持していました。また、男性と比べて女性の介護負担が重く、心理的苦痛を有する人の割合も高いことが分かりました。

 論文著者らは、「介護保険制度においては、家族による介護に過度に依存することを避け、介護者の社会的孤立を防ぐための政策が必要である」と結論しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

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