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プロスキージャンパー竹内択さん難病「チャーグ・ストラウス症候群」との闘い 葛西紀明さんの言葉がなかったら…

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月14日 9時26分

 好酸球の値は正常値の倍ぐらい高めですが、今のところはこれで落ち着いている感じ。薬は経過を見て、必要に応じて変えていくことになると思います。

 ただ、一生打ち続けるだろうことは覚悟しています。

 もし、注射を3~4カ月打たなかったら喘息症状で大変なことになるし、まったく打たなかったら死に近づくんだろうな~と漠然とした思いはあります。けれど、薬さえあれば日常生活に支障はないし、何の後遺症もありません。本当に強いていえば、注射針の痕が赤くなるくらい(笑)。

 ネットで病気のことを調べると、5年生存率が50%だったり、それ以下だったり、以上だったり、いろいろ出てくるんです。いつどうなるか分からないと実感したとき、命に対する考え方が変わりました。「いつまでもゆったりしていられない。やりたいことは早くやらなくちゃ」と思うようになったんです。幸せになりたいし、何かを成し遂げたいし、仲間と築きたいこともある。「いつかなれるでしょう」じゃなくて、掴みに行く自分になりました。

 病気でありながら現役にこだわっているのは、ジャンプが好きだからなのと、そのジャンプの魅力を伝えてジャンプ界の未来を切り開きたいからです。マイナースポーツなので、企業に所属して支えてもらうのが“普通”なんですが、そうじゃなくてスポンサーを自分で集め、いかにエンタメ化して皆さんにお届けするかを模索しています。

 19年に独立してプロジャンプチームを立ち上げたのはそのためです。子供たちのジャンプ大会を催したり、なんで今までやらなかったんだろう、ということに挑戦しています。どこまでできるかって感じなんですけど、うまくいかないことを「じゃ、どうしようか」って考えることが好きなんです。

 病気を知ったときは若干、人生を悲観しました。でも、逆に“称号”を得たみたいな気持ちにもなりました。だって、数十万人に1人の難病ですよ。めったにないことが自分に起こったわけで、人生のストーリーに強烈なエピソードをくれたなと思っています。

 そう思えるのも、発見が早かったからです。同じ病気の人の中には亡くなる人もいれば、炎症反応の影響で指や腕を切断する人もいます。SNSでそういうコメントを見るたびに、発見が早かったことをありがたく思います。

 何より今、現役でジャンプ競技ができていることに感謝です。実は、今日も試合でした。まだ雪はありませんが、スキージャンプは芝でもできるんですよ。大先輩の葛西さんも飛んでいるので、まだまだ頑張らないと(笑)。

(聞き手=松永詠美子)

▽竹内択(たけうち・たく) 1987年、長野県出身。冬季五輪3大会(2010年バンクーバー、14年ソチ、18年平昌)で日本代表になり、ソチでは男子団体銅メダルを獲得。19年に、13年間勤めた北野建設を退社し、「Team Taku」を立ち上げる。現役を続けながら、スキージャンプ界の発展のためにさまざまな活動をしている。

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