卓球アジア選手権50年ぶりVでマスコミ大騒ぎ…識者《中国を超えたとは言えない》とバッサリ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月16日 9時26分
女子団体で優勝(C)共同通信社
13日に幕を閉じた卓球アジア選手権(カザフスタン・アスタナ)で、日本は女子団体と女子複(大藤沙月、横井咲桜組)、男子単の張本智和(21=世界ランク9位)が金メダルを獲得。女子団体が中国を破って優勝するのは50年ぶり。男子単のアジア制覇も、やはり50年ぶりの快挙であり、2種目とも決勝の相手が「中国」ということでスポーツマスコミは大騒ぎだ。女子複の大藤・横井組も準決勝で中国ペアにストレート勝ちしている。
しかしこの「快挙」、手放しで喜べるものではない。今大会は7日から13日まで行われていたが、直前の6日までは中国の北京でWTTチャイナスマッシュという大会があった。例えば、張本はこの大会は単のみの出場でベスト16止まり。今回、張本に決勝で敗れた中国の林詩棟(19・同3位)は、単・混合複の2種目を制し、男子複でも準優勝。3種目14試合を戦った林は母国の大会で、その実力を存分に見せつけたが、いくら19歳の若者とはいえ、母国の大会で精根尽きたまま、直行便でも8時間前後もかかるアスタナへ移動した疲労は否めないだろう。
卓球コラムニストの伊藤条太氏は今回の日本勢の成績をどう見ているのか。
「今回の結果をもって中国を超えたとは言えません。中国にとってアジア選手権は重要な大会ですが、五輪や世界選手権ほどではないからです。それが選手起用や準備に表れています。実際、今回準優勝に終わった女子団体を見ても、1972年以降、欠場を除く大会で6回も金を逃しています。
今回はパリ五輪で女子単を連覇した陳夢(30・同3位)と団体金のメンバーだった王曼昱(25・同2位)が欠場し、ベストメンバーではありませんでしたし、出場した選手にも疲れが見えました。五輪や世界選手権なら、こうした選手起用やスケジューリングをすることはありません。ただ、中国のこうしたスキはこれまでもあったはずで、日本は50年間そのチャンスをモノにできませんでした。今回それを成し遂げたことはとてつもなく大きな一歩です。中国を本当に超える日は確実に近づいていると思います」
来年はドーハで個人戦の世界選手権がある。そこで日本勢の真価が問われることになる。
◇ ◇ ◇
確実に実力をつけてはいるものの、日本の卓球界はこの先安泰とは言い難い。長らく卓球界の最前線に立ってきた伊藤美誠がパリ五輪で代表漏れしたように、異常事態が起きているのだ。伊藤は、いったいなぜ転落したのか。彼女に何が起きていたのかを紐解くと、日本卓球界のいびつな構造が見えてくる。
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