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趣里の演技に共感できるのは…“天才ゆえに孤独を抱える主人公”を巧みに表現できるから(高倉文紀/美少女・女優評論家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月17日 9時26分

趣里の演技に共感できるのは…“天才ゆえに孤独を抱える主人公”を巧みに表現できるから(高倉文紀/美少女・女優評論家)

趣里(C)日刊ゲンダイ

【2024秋ドラマ 注目美女の素顔と実力】#8

 趣里
 「モンスター」(カンテレ・フジテレビ系)

  ◇  ◇  ◇

 10月14日放送開始の「モンスター」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜22時~)の主演は、朝ドラでも活躍した趣里。ゲーム感覚で法廷に立つ、怪物新人弁護士を演じる。

 1990年9月21日生まれ、東京都出身。バレリーナを目指してイギリスに留学していたが、ケガにより帰国。演技スクールに通って俳優という新しい夢を見つけて、オーディションで選ばれ2011年に「3年B組金八先生ファイナル」(TBS系)でデビューした。その後も個性的な存在感がある女優として活躍。23年度後期NHK連続テレビ小説「ブギウギ」のヒロイン役をオーディションで勝ち取り、注目を集めた。今夏は「ブラックペアン シーズン2」(TBS系)にシーズン1に続いて出演した(今回は特別出演)。

「ブラックペアン」で演じた猫田麻里は、シーズン2の途中で医師免許を取得する、無表情な元看護師だった。彼女が医師になって海外に渡る第6話の放送後には、さっそく公式サイトの登場人物紹介が「医師」に書き換えられていた。

 趣里は、「ブラックペアン」の猫田もそうだったが、クールな孤高の女性役を得意としていて、孤独が似合う女優だ。

 日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞し、演技派として高く評価されるきっかけとなった18年公開の「生きてるだけで、愛。」ではそううつ病と過眠症でひきこもり生活をする主人公を演じ、23年公開の塚本晋也監督作品「ほかげ」では時代に翻弄される居酒屋の女を演じた。

 考えてみると、実父の水谷豊が「相棒」(今秋、シーズン23が放送)で演じている杉下右京も、片隅に追いやられた部署に属する孤高の変人だ。

 朝ドラ「ブギウギ」では戦後の日本を明るく照らした「ブギの女王」を演じたが、彼女の演技史からいえば異色のタイプの役で、“新しい趣里”を感じさせた。

 趣里が今秋の「モンスター」で演じる弁護士は、どちらかというと“王道の趣里”。高校3年生で司法試験に一発合格し、手段を選ばずに裁判に勝つことを目指す天才弁護士役で、すぐれた才能を持った役という点では、前クールの「ブラックペアン」の猫田に通じる。

 趣里は、こうした仕事がデキる天才役が似合う女優でもある。「ブギウギ」で演じた福来スズ子も、歌手や俳優としてのずばぬけた才能を持つ人物だった。

 彼女がそういう天才系の役柄を得意とするのは、ストイックに演技と向き合う姿に「才能」というキャラクター設定を乗せることで、見ている人をスカッとさせる爽快な人物が生まれるからだろう。

 趣里がドラマで演じる主人公は、天才だけど、それゆえの孤独感も巧みに表現するから、共感できて、心に響く。

(高倉文紀/美少女・女優評論家)

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