物価上昇指数は2.8%UPでも、生活者の実感は「15%超」…分析リポート担当研究員の見解は?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月22日 9時26分
食料品はどんどんどんどん値上がり…(C)日刊ゲンダイ
10月の飲食料品値上げは2911品目を数える。コメ不足による米価高騰や加工食品、ペット飲料などの大規模な値上げで年内最大の値上げとなった(帝国データバンク9月30日発表)。
原材料価格や物流費の高騰により食品をはじめ、電気、ガスなどあらゆる分野の値上げで物価高はすでに3年近く続いている。
総務省が発表した8月の消費者物価指数は前年同月比2.8%上昇(生鮮品除く)と、2021年9月にプラスに転じて以来、消費者物価は36カ月連続で前年同月を上回っているのである。物価高が続くなか、消費者は、こうした物価上昇をどう感じているのか。日本銀行が5~6月に行った「生活意識に関するアンケート調査」から意外な結果が見える。
1年前と比べた「現在の物価に対する実感」を尋ねた結果、物価の変化は平均15.7%のプラスに達した。「上がった」と回答した割合は95%に上っている。消費者が実感している物価上昇率は、実際の数字と大きく乖離し、値上げ感を強く感じていることが分かるのだ。
「物価と体感」に関するリポートを発表(9月26日)したニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員がこう説明する。
「23年以降は実際と体感の乖離が拡大し、その差は10%を超えています。理由は、急上昇した米価(前年同月比+28.3%)や、食料品、ガソリンなど消費者が日常的に購入する商品の値上がりが大きいことが要因です」
さらに、「デフレ長期化で時間が経てば商品価格は下がるといった価値観が根付いたことに加え、賃金も上がらなかったため、わずかな値上げにも敏感になってきています」と続ける。
物価高騰の長期化で、消費者の物価に対する意識にも変化が見られる。同研究所調査による消費者の事業者への要望をみると、「多少の値上げは仕方ないが、商品の量や質は変えないで欲しい」というやむを得ない値上げを支持する割合が約6割を占めている。
■8月の実質賃金は再びマイナス
消費者の意識の変化は、人材確保の厳しさやコスト高のなか、企業努力で極力値上げを抑える姿勢が消費者に支持されてきたこと。コスト増や政府の賃上げ要請を背景に、従業員の賃金への還元から適切な価格転嫁もやむを得ないとして、消費者にある程度受け入れられる土壌が形成されつつあることが挙げられる。とはいえ、先の日銀調査では1年前に比べ景況感は「悪くなった」が20%以上増え、現在の暮らしぶりについても、「ゆとりが出てきた」が減少、「ゆとりがなくなってきた」が20%増加しているのである。
この8月の実質賃金は再びマイナスに転じた。物価水準の高止まりが継続している現在、消費に直接つながる賃金の伸びへの期待が大きい。
(ジャーナリスト・木野活明)
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