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愛知工業大・中村優斗 スピード感十分の体重移動、左足で地面をドーン!と叩く強大エネルギー(安倍昌彦/流しのブルペン捕手)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月24日 9時26分

愛知工業大・中村優斗 スピード感十分の体重移動、左足で地面をドーン!と叩く強大エネルギー(安倍昌彦/流しのブルペン捕手)

中村優斗(C)日刊ゲンダイ

【2024年ドラフト注目投手「生採点」】#3

 中村優斗(愛知工業大/投手・右投左打176センチ・83キロ/諫早農業高)

  ◇  ◇  ◇

 昨年12月の初め、「侍ジャパン学生候補合宿」の松山・坊っちゃんスタジアム。

 紅白戦の3番手に、この投手がマウンドに上がり、打者に投げ始めて、ネット裏がどよめいた。

 初球が確か、155キロだったと思う。全国からえり抜きの大学生選手が集まる選考合宿だ。そんなこともあるだろうと、最初は冷静を装っていたスカウト陣だったが、その後も、当たり前のように150キロ台を続けてくる無名の右腕に、「なんじゃこりゃ……!」と驚きの視線を注いでいたのを、はっきり覚えている。

 しかも、エイヤー! の力任せじゃない。両肩のラインを捕手のミットに向けることを大切にしながら、程よい力感の腕の振りからの「150キロ台連発」だったから、ネット裏の驚きはさらにボルテージを上げた。

「野球は高校(長崎・諫早農業高)までにして、県庁の職員になって、農業振興の仕事をしようと思ってたんです。長崎で生まれて、育ったので、長崎に恩返ししたかったので」

 この秋、リーグ戦前に取材に伺って、こんな話を聞いて、また驚いた。

 勧めてくれる人がいて、愛知工業大に進学していなければ、今ごろは入庁4年目の若手職員。それが、現実では、プロ野球ドラフト1位確実の剛腕なのだから、若い人のちょっと先なんてほんとにわからない。

 176センチ、83キロ……今の球界では「大型」の部類ではないが、そばで見ていると、やはり、投げるエネルギーが素晴らしい。

 マウンドの傾斜に助けを借りて、スピード感十分の体重移動から、左足で地面をドーン! と叩いて、地面からその大きな反動をもらう。このパワーがあるから、力まなくても自然と強烈に腕が振れる。フォームの力感より、ずっとボールが走るから、捕手のミットも遅れがち。

 スライダーが真横に吹っ飛び、フォークがタテに消える。

「いくらいいボールを投げても、僕はスピードガンと勝負してるわけじゃないので、試合に勝てなきゃ意味がない。チームメートに信頼されて、アウト全部三振ってわけにもいきませんから、バックに助けてもらいながら勝てる投手になるのが、プロに行ってからの仕事になると思います」

 大風呂敷を広げるわけでもなく、美辞麗句を並べるわけでもない。思うところをそのまま言葉にできる実直な九州男児の「旅立ち」が、もうすぐそこまでやって来ている。

(安倍昌彦/スポーツライター)

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