石油化学大手“ガチンコ再編”の可能性…エチレン稼働率が27カ月連続で大台割れへ(重道武司)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月24日 9時26分
京葉工業地帯(C)GYRO PHOTOGRAPHY/a.collectionRF/アマナイメージズ/共同通信イメージズ
【経済ニュースの核心】
過去最長記録の約12年ぶりの更新がほぼ確実視される情勢となっている。といっても「栄えある話」ではない。むしろ真逆だ。
合成樹脂をはじめとする大半の化学製品の基礎原料となるエチレンの製造設備における連続「低稼働」記録のことである。今年9月にはついに「26カ月」連続という、これまでの最悪水準に肩を並べた。「過剰生産の続く中国からあふれ出た安価な輸入品の増加や内需の低迷」(大手化学メーカー幹部)などが背景にある。
トレンドは10月に入っても好転の兆しがみられないまま。「27カ月」連続が完全に視野に入る。長引く底ばい状態を受けて三井化学や三菱ケミカルグループなど各社では、設備集約などプラントや石油化学コンビナートの再編に向けた検討を急ぐ。
エチレンは主要4樹脂と呼ばれる低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンやポリスチレンの原料となり、ここから家電・自動車などの耐久消費財や日用品、食品包装材などに加工される。その生産設備は稼働率90%が「好不況の目安」(市場関係者)とされ、景気動向を占う指標の一つともなっている。
ところが、これが22年8月以降、26カ月間にわたって大台を下回り続けているのだ。業界団体である石油化学工業協会(石化協)によれば9月の稼働率は80.2%。生産量も38.97万トンと前年同月比で9.7%も落ち込んだ。
統計を遡れる1991年以降では「石化不況」といわれた11年10月から13年11月までにかけての低迷期と同水準。業界内からは「中国製品が東南アジアなどに大量に流れ込み、市況も緩みっぱなし。採算が上向く気配は乏しい」との悲鳴も上がる。脱炭素や廃プラの加速も需要反転への逆風だ。
■進む設備集約化
そんな中、始まっているのが設備集約化の動き。国内のエチレン生産量の3分の1を占めるとされる京葉地区のコンビナートでは、27年度に出光興産がプラントを停止。三井化学に集約する方向で調整が進む。30年には丸善石油化学や住友化学も加わって全4基体制を2基に圧縮する構想も検討されている。旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社は水島地区(岡山県)などでの「生産最適化を見据えた設備再編を探る」(関係筋)。レゾナック(旧昭和電工)は石化事業の分離に踏み切った。本体同士による“ガチンコ再編”の可能性も捨て切れない。
(重道武司/経済ジャーナリスト)
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