1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

健診の眼圧検査“異常なし”で安心してはいけない理由【一生見える目をつくる】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月24日 9時26分

健診の眼圧検査“異常なし”で安心してはいけない理由【一生見える目をつくる】

約8割は正常眼圧緑内障

【一生見える目をつくる】#36

 40代以降にリスクが高くなる緑内障は、眼圧の上昇が関係しています。眼圧とは、目の内側から外側にかかっている圧力のことです。

 もう少し詳しく説明すると、目というのは丸い形を保つために、房水(ぼうすい)と呼ばれる液体を循環させ、目の中の圧力を調節しています。なんらかの原因でこの房水の排出がうまくいかなくなってしまうと、眼圧が高くなる。そうなると視神経が圧迫されて血流が障害される。血流が悪いと神経が死んでいき、だんだんと見える範囲が狭くなっていきます。

 ただし、眼圧が正常(正常値は10から21㎜Hg)でも緑内障を発症する人が多く、これは「正常眼圧緑内障」と呼ばれています。日本人に最も多いタイプの緑内障で、緑内障患者のうち約8割はこの正常眼圧緑内障。また、これとは反対で眼圧が基準値よりも高くても視神経が傷んでいない人もいます。この場合は、「高眼圧症」と呼ばれます。

 会社の健康診断で眼圧検査だけを行うケースもあるようです。とはいえ、そこで正常と診断されたからといって安心しないように。正常眼圧緑内障の可能性もありますから。

 視野が欠けているかどうかは、眼圧検査だけではわからないのです。眼圧検査に加え、眼底検査、視野検査を行って初めて緑内障が疑わしいかがわかる。最近ではこれらに加えて、「OCT」(光干渉断層計)という機械が普及しています。

 OCTは、目の各部分を光で切ってコンピューターで構築するシステム。網膜の断面図や厚みなどを測定して、視神経線維の薄くなっている部分を検出して、緑内障か否かを診断しています。

 切る、というと「痛みがあるのでは?」と思われる方が多いかと思いますが、OCTは痛みや副作用はありません。ただまれに「少しまぶしい」と感じる患者さんはいらっしゃるようです。検査後の規制もなく、そのまま帰宅していただけます。

 余談になりますが、OCTのような光学系の検査機器においては、日本はトップクラスだといえます。ですから日本製の検査機器を使用している日本の眼科検査は正確でハイレベル。OCTも進化を続けており、コンピューターの解像度はテレビよりも高精度で精密に映ります。

 現在は網膜の1層目、2層目、3層目ぐらいまでははっきりと映り、医師が確認することができます。生まれ持った目の構造上、眼圧が高くなりやすい人がいますが、これもOCT検査でわかる。医師はそれを見つけると「この人は緑内障に気をつけないといけないな」と診断し、定期的な検査が必要であることを患者さんに伝えます。緑内障の早期発見につながります。

(荒井宏幸/クイーンズ・アイ・クリニック院長)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください