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長寿研究のいまを知る(7)「老化細胞除去薬」開発のきっかけはがん研究だった

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月24日 9時26分

 23年には、糖尿病性黄斑浮腫の患者を対象にした従来の標準治療である抗VEGF薬と、新たな老化細胞除去メカニズムを機序にしたBcl-xL阻害剤「UBX1325」とを比較した第2相試験もスタートしている。

 Bcl-xLは、そのミトコンドリアのアポトーシス(自然の細胞死)を誘導する膜貫通物質。アポトーシス調整タンパク質のBcl-2ファミリーのメンバーで、ミトコンドリア内の内容物を細胞内に放出することで、抗アポトーシスタンパク質として作用する。UBX1325は、そのBcl-xLの強力な低分子阻害剤だ。

 ちなみに、ミトコンドリアは細胞内に数百~1000個ほどあるエネルギー産生工場として知られているが、アポトーシスの制御においても中心的役割を果たしていることがわかっている。

 ミトコンドリアは、外膜と内膜の2重膜で囲まれていて、内膜の内部にクリステと呼ばれる袋状構造がある。そのなかにアポトーシスの合図となるチトクロムCを隔離していて、アポトーシスが誘導されるとクリステの袋が開き、チトクロムCが外膜に開いた孔(ポア)を通ってミトコンドリアの外に出て、アポトーシスがスタート。ミトコンドリアが分裂して細かく断片化する。

「老化細胞除去薬がヒトに使えるようになるには、安全性が担保された上で、具体的な効果効能が示される必要があります。そのためには、まだまだ研究年数が必要になるでしょう。しかし、それらが担保され、具体的な効果効能が立証されることになれば、現在の治療法の概念を大きく変えることになるかもしれません」

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