富士大・佐藤柳之介 投球フォームと球道の高い再現性、ミット位置に決まる「コントロール率」の精緻(安倍昌彦/流しのブルペン捕手)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月24日 11時32分
富士大・佐藤柳之介(C)共同通信社
【2024年ドラフト注目投手「生採点」】#4
佐藤柳之介(富士大/投手・左投左打179センチ・86キロ/東陵高)
◇ ◇ ◇
去年の春ごろまでは、投げてみないとわからない投手だった。
左腕にしか投げられないホームベース上を斜めに切れ込んでくる速球の軌道は鋭かったし、タテの落差も帯びたスライダーに、チェンジアップ、フォーク……持ち球の威力は全国レベルだったが、1球のストライク、ボールの判定や投げ損じから急に制球を乱したり、前半は快投していても、後半六回、七回あたりでへばりがきて球威を落としたり、どこか頼りなげな投手だった。
「このままじゃダメだっていうことで、すべてゼロに消却して、イチから組み立て直しました」
就任2年目の富士大・安田慎太郎監督は、その前のコーチ時代から佐藤投手の足どりを見守ってきた。
「練習メニューもある程度こちらから提示して、ノルマを課す練習も増やして、徹底的に鍛え直しました」
鉄は熱いうちに打て。
伸び盛りの二十歳前後の時期に、強いられる練習も豊富にこなして、特に安定感と持久力の面で、劇的にレベルアップが見られたという。
3年春のリーグ戦で優勝すると、6月の全日本大学選手権でも創価大、大阪商業大の強力打線をピシャッと抑え、4年春のリーグ戦も惜しくも優勝は逃したものの、安定感抜群の投球で評価を上げた。
そして、この秋も快刀乱麻の投げっぷり。投手・大谷翔平ばりの小さなテイクバックで、左打者はもちろん、右打者にも球筋が見えていない。速球はアベレージで145キロ前後、バックスピンの利いた空気を切り裂くようなクロスファイアが続く。
カーブ、スライダー、フォークで30キロ以上のスピードの幅をつくって投げてくるので、打者はとても絞りにくい。
投球フォーム、球道の再現性が高く、投げたボールが捕手が構えたミットの位置に決まる「コントロール率」は、試合終盤まで80%近い高精度を保って、盤石のピッチングが続く。
「本当によくなってくれたと思います。彼が投げて負けたら……ぐらいの絶対的エース。なかなか負けないと思いますけど」
辛口の安田監督も、その充実度を認めている。
関西大・金丸夢斗が飛び抜けた存在として、まず注目を浴びて、2人目の左腕の名前がなかなか挙がってこなかった2024ドラフト戦線に、確かな実戦力を搭載した頼もしいサウスポーが、「北東北」から頭をもたげ始めている。
(安倍昌彦/スポーツライター)
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