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日本人の「出る杭は打たれる」は本当だった…誰かが突出することを恐れる【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月25日 9時26分

日本人の「出る杭は打たれる」は本当だった…誰かが突出することを恐れる【科学が証明!ストレス解消法】

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

【科学が証明!ストレス解消法】#188

 誰かが飛びぬけた成果を出すことを恐れるあまり、仲間意識を求め、同じ目線を期待する。日本人のそうした意識を示唆する研究が存在します。

 大阪大学の西條と福島大学の中村が行った実験(1995年)では、日本人被験者は米国人被験者よりも「自らの利益を減らしてでも、相手に利益を与えない」と振る舞う行動を選ぶ割合が高かったそうです。

 この実験は、2人1組で行われる投資ゲームで、初期資金として10ドルを与えた条件でスタートし、10回×2セットを繰り返します。参加者は0~10ドルの範囲で任意の金額を投資できるのですが、2人の投資額の合計に1.5倍をかけた金額が、2人に均等に分配されます。

 例えば、AさんとBさんがそれぞれ10ドル投資をすると、合計額は20ドル。1.5倍をかけると30ドルとなり、AさんとBさんにそれぞれ30ドルが支払われる。双方とも手元の残金はゼロですから、30ドルが持ち金となります(ケース①)。

 次に、Aさんが10ドル、Bさんが0ドルだった場合は、合計額は10ドル。1.5倍をかけると15ドルとなり、AさんとBさんには15ドルが支払われます。しかし、Aさんは10ドルを捻出しているため、手元に残金はなく、支払われた15ドルのみが持ち金となります。一方、Bさんは投資額が0ドルだったため、手元に10ドルがあり、支払われた15ドルと合算すると25ドルの持ち金があるということになります(ケース②)。

 こうしたゲームを10回×2セット行ったわけですが、とてもシンプルなゲームですから、毎回10ドルをかけるのがもっとも儲かる方法となります。毎回10ドルをかけることがAさんもBさんも手っ取り早くお金が増えるかけ方です。

 この実験を、2002年に西條らは今度は日米比較で行ったのですが、日本人の参加者は、ゲームによってあえて0~9ドルをかける人が一定数いたといいます。

 つまり、10ドルかけたAさんの取り分が減るケース②のように、たとえ全体的に自分(Bさん)の取り分が減るとしても、味方であるAさんの持ち金が減るような懲罰的な行動をするケースが散見されたというのです。

 こうした行動を取り続ければ、当然、パートナーであるAさんは不快感を示します。そのため、実験が進むにつれ、協調的に振る舞う日本人被験者が増えたといいます。批判されることを恐れて、同調・忖度するようになった──。なんとも私たち日本人にとっては耳の痛い結果が示唆されたのです。

 日本人は、独特の特徴を持っています。仲間意識を持ちながら、誰かが突出することを恐れ、ときに足を引っ張ることもいとわない。「出る杭は打たれる」のは、日本人ならではともいえるのです。

 仲間意識を持つことは素晴らしいことです。しかし、ときにひっくり返り、思わぬストレスを生む関係性であることも理解しておくことが望ましいでしょう。そして、できることなら寛容さを持って接するようにしてあげてください。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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