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橋幸夫は暴漢に襲われた恐怖のエピソードも「冷静沈着」に振り返られた(本多正識/漫才作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月26日 9時26分

橋幸夫は暴漢に襲われた恐怖のエピソードも「冷静沈着」に振り返られた(本多正識/漫才作家)

橋幸夫(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#215

 橋幸夫

  ◇  ◇  ◇

「元祖御三家」の長男格、80歳を越えた今も精力的にコンサートでその歌声を聞かせてくださっている橋さん。80年代初頭の漫才ブームでは、ザ・ぼんちのおさむさんがネタの中で橋さんのものまねをされていて、「あれ~?」という言葉が流行語にもなりました。

 番組でお会いした際に「最初は、俺ってそんな感じか? っていう違和感がありましたけど、おかげで“本物の橋幸夫さんです”ってテレビに呼んでいただく機会が増えて、あまりご縁のなかったバラエティー番組からも声をかけてもらってありがたかったですね」とおさむさんをマネて「あれ~?」をしてくださるひょうきんな一面も見せてくださいました。

 1963年の公演中に暴漢に襲われた話を伺うと「もうだめだと思いましたね。刃物で切りつけられたって報道されたんですけど、ナイフじゃなくて“軍刀”でしたから。切りつけられた時に刃の先の方を右手で掴んで、両手で引き抜かれないように押さえつけたんです。引き抜かれると指をもっていかれちゃうから(切られてしまうから)」と、ひとつ間違えば命に関わったであろう恐怖体験をそれこそ「冷静沈着」に振り返られる橋さん。MCの(トミーズの)雅くんが「ようそんなことがとっさにできましたね!?」と聞くと「若い頃にボクシングをかじってたことがあったんで動けたんでしょうね。短いナイフなら殴り倒すこともできたんでしょうけど、軍刀だったんでこのままだとやられてしまうと思って必死だったんだと思いますよ」「ケガはなかったんですか?」「ううん、右手の小指の腱を切られたんで今でも動かないんですよ」と、これまた冷静に手を出して見せてくださいました。

「ひとつ間違えばあの時に終わってましたから、あの事件が今を大切に生きなきゃいけない、いつ何が起こるかわからないと思わせてくれましたね。だからずっと感謝の毎日です」とあくまでも冷静に話されていた姿が印象的でした。

「声が出る限り歌い続けるのが僕の使命」とおっしゃる橋さん。これからもお元気で一日も長く歌い続けていただきたいと思います。

(本多正識/漫才作家)

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