本格的に寒くなる前に知っておきたい…冬の「血圧上昇」と「糖尿病」のこと
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月26日 9時26分
お風呂はお湯張り時に浴室を温めて
暑く長い夏が終わったと思ったら、短い秋を挟み、いつも通りの冬がやってくる。気象庁が9月に発表した長期予報は今年の冬は例年並みの寒さになるという。そこで気をつけたいのが冬場の血圧上昇に伴う「ヒートショック」や「モーニングサージ」。とくに注意が必要なのは糖尿病とその予備群の人たちだ。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に聞いた。
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「冬に血圧が上がるのは、寒い冬は熱を体外に逃がさないため、末梢血管が収縮して細くなり血液を送り出すのに大きな力が必要になるからです。春や夏に正常血圧だったとしても安心できません」
冬は鍋料理を楽しむことが多い。鍋には塩分が不可欠で、寒い冬は体を動かさず汗もかかないため、塩分(≒ナトリウム)が体内に残り、高血圧に拍車をかける。
「体内の塩分過多は血液中のナトリウム濃度が高くなることを意味します。私たちの体はその濃度を下げるために、血管の周辺から内に水分を流入させます。結果、血管内を流れる血液量が増え、それが寒さで細くなった血管の壁を押し、血圧を高くするのです」
肥満の人は脂肪細胞や神経細胞から分泌される物質や神経細胞の高進により血管が収縮することなどで、より高血圧になりやすい。健康な人ですら冬は血圧が高くなるのだから、糖尿病の人、とくに糖尿病の高齢者はさらに冬の高血圧に注意する必要がある。
「先ほど、血液中のナトリウム濃度が高くなると、その濃度を下げるために血管内に水分を流入させて血液量を増やすと説明しました。血糖が高い糖尿病の人は、塩分ではなく血糖で同じようなことが体内で起こっているのです」
2つの濃度が異なる水が隣り合わせたときに濃度を一定に保つために水分が移動する力のことを浸透圧という。
「糖尿病の人は血液中に血糖がたっぷり含まれていて血液濃度が高い。一方、血管の周辺の細胞に含まれる水分の濃度は低いため、腎臓や細胞から血管に水分が移動して血液濃度を周辺の細胞の濃度と一定に保とうとします。結果、糖尿病の人は季節に関係なく健康な人に比べて多くの血液が血管を流れていて、血管壁に圧力をかけ続けている状態なのです」
しかも、糖尿病を長く患っている人は、腎臓の機能が低下して水分やナトリウムの排出がうまくいかず、大量の血液を抱えた、高血圧の状態が恒常化してしまう。
「全身の細胞に血糖を取り込むために必要なホルモンであるインスリンの機能が悪くなった状態を『インスリン抵抗性』といいます。抵抗性が出ると私たちの体は量で補おうと、インスリンを大量に分泌します。この状態が続くと高インスリン血症となり、腎機能が低下して水分やナトリウム排泄ができにくくなるのです」
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