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ワッキーがつらさを告白…中咽頭がん化学放射線療法の副作用を減らすコツ【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月26日 9時26分

ワッキーがつらさを告白…中咽頭がん化学放射線療法の副作用を減らすコツ【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

ワッキーさん(C)日刊ゲンダイ

「退院して4年たつけど味覚は5割しか戻らないし、唾液は普通の人と比べて3割しか出ないんですよ」

 タレントのワッキーさん(52)が「週刊女性」に中咽頭がん治療の後遺症についてこう語っています。中咽頭がんは世界的に増加傾向で注目されていますから、その治療と副作用について掘り下げましょう。

 ワッキーさんは発見時に首のリンパ節への転移がありながら、ステージ1と診断されています。「普通ならステージ3~4」といわれながら、早期の診断を受けたのはこのがんの特徴です。

 通常咽頭がんは飲酒や喫煙がリスクですが、それ以外にHPV感染もリスクになります。後者の場合、抗がん剤と放射線を組み合わせた化学放射線療法がとても効きやすく、リンパ節転移が4個まではステージ1と診断されるのです。

 ですから彼が受けた治療も化学放射線療法でした。放射線が照射された部位には副作用が生じ、急性の副作用と遅れて見られる晩期の副作用が知られています。

 咽頭がんでは、急性の副作用としてのどが痛む、しみる、声がかれる、唾液が減る、味覚が落ちるなどがあり、晩期の障害として唾液や味覚の異常のほか、歯が抜ける、あごの骨の障害、粘膜の潰瘍などが生じることがあるのです。

 急性期の障害は治療中から起こり、治療を終えてしばらくすると治ります。一方、晩期の障害は起こりにくいものの、発症してしまうと、治りにくいのです。人によっては治療から10年くらいたって発症することもあります。

 女優の秋野暢子さんは頚部食道がんで化学放射線療法を受け、治療中はのどの痛みなどに苦しまれていました。しかし、その後、痛みは解消していて、今のところ晩期障害は発症していないと思われます。

 こうした副作用の現れ方の違いは、がんの部位が異なるだけでなく、照射の仕方の違いもあるでしょう。がんの形に合わせて放射線の強さを変えながら集中的に照射できるIMRT(強度変調放射線治療)は、従来の放射線に比べて、唾液や味覚への影響が抑えられることが分かっています。ですから、化学放射線療法でも、IMRTで放射線治療を行うことが重要です。

 東大病院でリンパ節転移があるHPV陽性中咽頭がんステージ1に対しIMRTによる化学放射線療法を行った場合、唾液などへの影響は「健康なときの7~8割くらい」と表現される患者さんが多く、ワッキーさんほどに副作用が強く残るのはまれです。

 ですから、とにかくがんにピンポイントに照射することがポイント。正常組織への照射はなるべく弱く、少なくが大切です。

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