中井貴一、遠藤憲一、寺島進…秋ドラマで“クセ強”オヤジの大暴れが痛快だ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月27日 9時26分
(左から)中井貴一、寺島進、遠藤憲一(C)日刊ゲンダイ
この秋のゴールデン帯に恋愛ドラマはゼロ。その代わりに、クセの強いオヤジたちが大暴れしている。これがまた痛快なのだ。
まず、こうと決めたら一切ブレず、言うことは辛辣、平然と嘘をつき、でも腕は確かという正統派オヤジは、「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)の九鬼静(中井貴一)。さまざまな病院を渡り歩く伝説のスーパーナースは、今度は元院長と現院長が激しく対立する経営危機の病院に来た。相変わらず、無責任な医師や未熟な看護師には広島弁で凄み、時にはだましてでも患者に適切な治療を受けさせて命を救う。シーズン2でも「バカナース!」「バカドクター!」を連発、周囲は戦々恐々だ。
他人に入れ替わってしまうオヤジ、内閣総理大臣の武藤泰山(遠藤憲一)も、「民王R」(テレ朝系)で9年ぶりに帰ってきた。入れ替わる相手は男性だけでなく、時に子どもや女性だったりと全国民で、誰と入れ替わってしまったのか、テレビの生放送で「どいつもこいつも腐ってんなあ」とワニ顔で悪態をつく。
面倒くさいオヤジといえばこの男、寺島進である。「D&D~医者と刑事の捜査線~」(テレビ東京系)では、コンプライアンスくそくらえの絵に描いたような“昭和のデカ”だ。上層部から圧力がかかっても意に介さず、オーバーサイズのスーツに色付きレンズの銀縁メガネとやくざファッションで真犯人を追い詰める。「相棒」(テレ朝系)の杉下右京(水谷豊)も立派なこじらせオヤジである。
■中高年視聴者が見直されている⁉
いま、なぜオヤジなのか──。
「結局、視聴率も広告営業も、稼げるのはオヤジが活躍するようなドラマなんですよ。若者向けの恋愛ドラマはネット配信の再生数こそ多いですが、ネットの広告単価は安く、営業面の寄与度は低い。民放テレビ局としては、やっぱり地上波でガンガン稼いでほしいわけで、それには、オヤジが主役のオヤジ(中高年層)のためのドラマがいいんです」(経済誌メディア担当記者)
視聴層が若い番組ほどCMスポンサー受けがいいといわれるが、そうとばかりも言えないらしい。20~40代はこの円安・物価高で節約志向が強まっていて、外食を減らし、ネットで中古品を買うことも多い。そんなときでも、「多少高くてもいいものを買う」のはアクティブシニアら中高年層なのだ。
「スポンサーとしてはそこを狙いたいわけです。そもそも、若年層はドラマを見てても、録画して倍速視聴だし、CMも飛ばすので、広告効果は薄い。でも、中高年層はリアルタイム視聴がほとんどで、CMもちゃんと見てくれます。企業が広告を出すのは、依然として世帯視聴率が高い番組で、営業的にはクセ強オヤジに期待大です」(大手広告代理店営業マン)
第1話の世帯視聴率は「相棒」12.6%、「ザ・トラベルナース」11.3%、「民王R」7.8%とゼッコウチョー。対して、4人の姉妹の恋をテーマにした「若草物語」は4.4%と低調である。クセ強オヤジただいま独走中!
(コラムニスト・海原かみな)
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