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「競争を良しとしない義務教育」に異議アリ! 野球人口減少どころか“スポーツ離れ”の現状を憂う(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月28日 9時26分

「競争を良しとしない義務教育」に異議アリ! 野球人口減少どころか“スポーツ離れ”の現状を憂う(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)

徒競走は減少傾向

【持丸修一 76歳名将の高校野球論】#49

 24日、ドラフト会議が開催されました。

 毎年のように「〇年に1度」と評される逸材が出現し、どこの球団が指名するのか、全国のプロ野球、高校野球ファンが固唾をのんでその時を待つ──。異なるファン層が一体となって楽しめる一大イベントです。 

 しかし、あと何年、ドラフト会議を楽しめるのでしょうか。私の寿命の話ではありません。

 野球人口が減っているからです。

 今ドラフトにかかった高校生たちが生まれた2006年の高校球児は16万6314人でしたが、今年は12万7031人(約76%)にまで減少しています。同時期の出生者数の減少が約83%であることを考えると、野球離れは少子化以上の速度で進んでいることがわかります。

 その要因として、球遊びできる公園の減少や野球道具の多さと金銭的負担、子供たちにとっての選択肢の増加、中学教員の働き方改革などが挙げられます。ただ、私は「義務教育のあり方の変化」も関係していると考えます。

 たとえば近年は運動会の徒競走を廃止する小中学校が増えているそうです。つまり、スポーツで順位や優劣を付けたり、競争を避ける動きが広がっているのです。そのせいか、男子中高生の運動部加入率は年々低下しているという調査結果が出ています。

 いまの教育現場では、野球離れどころか“スポーツ離れ”が進行しているのです。

 元高校教員として、この場を借りて「競争を良しとしない義務教育」に異議を唱えたい。なぜなら、人生は常に競争だからです。希望する大学に進むためにも受験があるし、社会に出てからはもっと激しい戦いが待ち構えています。競争こそ社会の本質といっても過言ではありません。義務教育はそれらに向けた準備をするための場でもあるはず。いくらでも挑戦も失敗もできる子供の時こそ、競争の環境に慣れさせるべきです。

 その点でスポーツはもってこいです。どうやったら相手に勝てるか、自分が成長できるか。試行錯誤、努力する過程で自分を知り、人間としても成長できる。積み重ねた経験は何事にも応用が利き、大人になってからも目標に向けて正しく努力できるはずです。

 いまの教育が続けば、野球人口の減少どころか各スポーツ競技で逸材の出現率も減るかもしれない。努力や競争に慣れていない人材が社会にあふれると、日本経済はさらに停滞してしまうのではないか。危機感が募ります。

(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)

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