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介護施設で「大部屋」より「個室」がいいと言い切れない背景【親を要介護にさせたくない】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月29日 9時26分

介護施設で「大部屋」より「個室」がいいと言い切れない背景【親を要介護にさせたくない】

写真はイメージ

【親を要介護にさせたくない】#18

 介護施設や有料老人ホームへの入居を検討する時、どのタイプの部屋を希望するか決めなければならない。ひと昔前なら多床室(大部屋)か個室の二者択一だったが、最近はさらに細かく分類され、入居者の介護度、性格、費用などから最適解を選ぶ時代になっているからだ。それぞれご紹介すると……。

▽(従来型)多床室。よくあるのがひとつの部屋に4つのベッドが置かれ、カーテンや家具などで簡易的な仕切りがあるタイプ。いわゆる昔ながらの大部屋だ。費用は安いものの、時代の流れとともに減っている傾向がある。

▽(従来型)個室。こちらも昔ながらの個室。ビジネスホテルのような造りを想像してもらえればいい。それぞれが自分の部屋でプライバシーを保ちながら生活できるタイプだが、自由に歩けない人だと部屋にこもってばかりになる不安がある。

▽ユニット型個室的多床室。大部屋ではあるが、それぞれのベッド周りはパーティションなどでしっかり区切られ、個室風になっている。ユニット型というのはいくつかの部屋(10人分前後)ごとに共有スペースがあり、利用者のコミュニケーションが円滑に行えるよう配慮されている(2021年、個室化を進めたい国の政策により新設が禁止された)。

▽ユニット型個室。従来型の個室が廊下に面しているのに対し、10部屋ほどをひとつのユニットとして、食堂などの共有スペースに面している造りになっている。つまり、部屋にこもってばかりの生活を防げる利点がある。また、ユニットごとに担当者を置くことで、働き手(介護者)が個別ケアをしやすいことも特徴のひとつだ。

 さて、これらの居室。順番待ちという点で人気なのは、従来型多床室だ。理由としては、まず何より費用が安いということ。次に、認知症などがあると、個室では何かあってもすぐに気づいてもらえない不安から、家族は人の目につきやすい多床室を望むこと。さらに、個室化を進めている政策のため、希望者の数に対し多床室が少ないことなどが挙げられる。

 そのあたりをじっくり考え、どのような部屋を選ぶのか、本人はもちろん、家族の希望、専門家の意見をしっかり聞いたうえで検討するようにしたい。そして、同じタイプの部屋でも、施設によりかなり印象が異なることを考慮し、必ず見学を申し出ることを忘れずに。

(西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)

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