腎機能の低下によって思わぬ副作用が現れるケースがある【クスリ社会を正しく暮らす】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月30日 9時26分
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【クスリ社会を正しく暮らす】
以前、サプリメントによる「腎機能障害」を取り上げました。腎臓は血液を濾過して老廃物や余分な塩分を尿として体の外へ排出します。多くの医薬品も腎臓から体の外へ排出されています。また、腎臓は体に必要なものを再吸収し、体内にとどめる働きもしています。しかし、これら腎臓の働き=腎機能は、年齢とともに低下していきます。腎臓の働きが低下すると、医薬品の排泄が遅れ、思わぬ副作用を起こしてしまうケースがあります。そうしたこともあって、薬剤師は腎機能の指標である「血清クレアチニン」や「eGFR」などに注意を払い、腎機能に応じた薬の用量や投与回数などを医師に提案しています。
たとえば、新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬であるパキロビッドパックの場合、eGFRが60ミリリットル/min未満の中等度腎機能障害患者では減量を、eGFR30ミリリットル/min未満の重度腎機能障害患者では投与の中止もしくは投与する医薬品の変更を提案しているのです。
腎機能以外にも、多くの医薬品を分解する肝臓などの機能も、年齢とともに徐々に低下していくため、長年飲みなれている薬でも副作用には注意が必要です。
たとえば、20年間同じ血圧の薬しか服用されていない患者さんが、ふらつきを訴えて来院され、血圧を測ると100/80㎜Hgを切っていたケースもありました。薬を代謝・排泄する能力が徐々に低下していったため、以前よりも薬の効果が強く出てしまったのかもしれません。
昨今、病院からいただく処方箋には検査の数値が印刷されているケースが増えてきています。検査値は、副作用の指標になるだけでなく、薬の用量調節にも使えるため、薬剤師にとってとても役立つ数値なのです。保険薬局でも、患者さんの検査数値をお見せいただけると、とてもありがたいです。
(荒川隆之/薬剤師)
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