健康寿命は経済力で決まる(6)ジェネリックと先発薬…「特別な料金」なしならどちらを選ぶ?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月30日 9時26分
写真はイメージ
「特別な料金」によってジェネリックの使用を促進し、医療保険財政の逼迫を緩和したいというのが政府の思惑。しかし達成は難しいかもしれません。
たとえば糖尿病治療薬です。もっとも多く使われているのは先発薬の「メトグルコ錠250ミリグラム」(住友ファーマ)で、2022年度の統計では院外・院内合わせて約7億5000万錠が処方されました。すでに特許切れのため数社からジェネリックが発売されていますが、すべてを足し合わせてもわずかに先発薬を上回る程度です。しかし、薬価は同じ10.1円/錠。どちらを使おうと患者の財布にも保険財政にもまったく影響しません。
一方、高脂血症治療薬では、ジェネリックの「ロスバスタチン錠2.5ミリグラム」(第一三共エスファ)がトップ(約6億5000万錠)。他社のジェネリックも合わせると市場はほとんどジェネリックに置き換わっています。
他の生活習慣病薬も似たり寄ったりです。先発薬の薬価が下げられてジェネリックとの差がなくなっているか、すでにジェネリックに置き換わっているかなので、いまさら「特別の料金」を導入しても大きな変化は期待できません。
しかし、ここで注目したいのは、ジェネリックとの価格差が(ほとんど)なくなっても人気を保ち続けている先発薬が存在することです。メトグルコの他に、精神安定剤のデパス錠、咳止め薬のメジコン錠、痰を切るアスベリンなどなど、多数あります。
実は昔から「先発薬とジェネリックでは効き方が違う」「ジェネリックは副作用が多い」といったことが医者の間でよくウワサされてきました。多くの内服薬には、錠剤としての形を作るためにさまざまな添加剤が使われています。しかも添加剤はメーカーによって異なっていますし、経済性が優先される傾向があります。
そのためジェネリックでは、添加剤に対するアレルギー反応や体調不良が現れることが時々あるらしいのです。
薬価が同じなのに先発薬が多く使われている薬に限れば、黙って先発薬を選んだほうが安心できそうな気がします。=つづく
(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科・永田宏教授)
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