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ワールドシリーズ地上波中継権を獲得、映画が大ヒット…フジテレビに運は向いてきたか?

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月31日 9時26分

ワールドシリーズ地上波中継権を獲得、映画が大ヒット…フジテレビに運は向いてきたか?

フジテレビ社屋(C)日刊ゲンダイ

【芸能界クロスロード】

 低迷が続くフジテレビに運が向いてきたのか。

 ワールドシリーズ7戦までの地上波中継権を獲得。今年春、大谷のプライベートを巡る取材で一時、「出禁」になったフジが権利を得たのは皮肉な話だが、まさに幸運だ。

 テレビ関係者は「大リーグ中継はNHKと民放が交互に放送。今年は民放の担当でしたが、これも民放各局の持ち回りでたまたまフジだった」と話す。

 掴んだ幸運を手放すまじとばかりに、フジは午前中の生中継に加え夜7時からも再放送。朝見られない人へのサービスのようだが、結果のわかったスポーツにどれほどの人が関心を持つだろう?

 ゴールデンの時間帯で本来の番組を休止にして大リーグの再放送。裏を返せば、「今のフジに大リーグに勝る人気番組はない」と言っているに等しい。従来の番組を楽しみにしていた人にとっては迷惑な話だ。往年の“月9”のような人気ドラマを放送していたなら、抗議が殺到したはず。夜の再放送まで必要だったのだろうか。

 フジが自力で幸運を呼び込んだのが公開中の柳葉敏郎主演「室井慎次 敗れざる者」。観客動員で2週続けて1位を取るなどヒット。久しぶりに「フジ」の名が“踊って”いる。

 1997年に放送が始まった織田裕二主演「踊る大捜査線」は10年以上にわたる人気シリーズだった。度々、映画化され柳葉演じる室井警視監のスピンオフも人気だった。今回、12年ぶりの再登板。斬新だったのが柳葉の顔半分をアップにしたポスター。室井のオールバックの髪形は変わらないが、眉間、額のシワは室井が退職後、年を重ねたことを物語っている。舞台設定も柳葉自身の出身地であり現在、家族と暮らす秋田。うがった見方をすれば、東京から離れた秋田なら織田が出ていなくとも違和感なく見られる。

 ちなみに、今回の作品では織田は過去の映像のみ。出演者の名前にも入らなかった。主役を食う室井の人気を不動にした要因が黒のスーツとコートにある。退職して秋田で農業をしながら2人の里子と暮らす室井。普段は作業服だが、捜査協力で戦闘モードに入ると、黒の三つ揃いのスーツを部屋の奥から出し、コートを着てさっそうと出かける。水戸黄門が印籠を出す瞬間のように、観客からもため息が漏れた瞬間だった。顔のシワとスーツで魅了する室井。

 関係者は「柳葉は今のフジの救世主。新たなドラマの主演を考えている」という。幸運や過去の作品でひと息ついたフジ。当面の課題はシリーズ化になるドラマを作ることにある。

 ドラマが好調なテレビ朝日には人気シリーズがある。今期も「相棒」に、中井貴一と岡田将生がコンビを組んだ「ザ・トラベルナース」シーズン2が加わり二枚看板になった。

 フジにもかつて「古畑任三郎」など人気シリーズはあったが、今はシリーズ化できるドラマがない。今期、反町隆史と杉野遥亮コンビによる「オクラ 迷宮入り事件捜査」は、「相棒」を意識したような刑事ドラマで、シリーズ化を狙ったのだろうが、初回7.8%の世帯視聴率が2回目で2ポイントもダウン。「期待したが面白くない」と早々に視聴者離れが起きた証し。内容も要因なのだろうが、「相棒」時代、反町が演じた冠城亘がそのまま出ているように見えてくる。シリーズ化どころか、まずはこれ以上、数字を落とさないことが先決だ。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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