長寿研究のいまを知る(8)「ラパマイシン」を世界の長寿研究者が注目する理由
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月31日 9時26分
ヒトの老化研究のモデルとして、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウス、ラットなどが使われている。寿命が数週間から数カ月と短く、観察が容易で遺伝子操作が簡単だからだ。しかし、酵母や線虫では得られた成果がマウスでは再現されない、という「種の違いによる差」があり、老化研究を難しくしてきた。
その代表が「レスベラトロール」の寿命延長効果だ。レスベラトロールとは、ブドウの果皮や赤ワイン、ピーナツなどに含まれる抗酸化作用を持つポリフェノールの一種で、長寿遺伝子を活性させるとされている。
その効果は03年に酵母、線虫(04年)、魚(06年)、高カロリー餌マウスで同年に報告された。しかし、08年には通常餌で飼育したマウスにはその効果が認められないことが示され、現在も研究が続いている。
「ところが、ラパマイシンによるmTORの阻害は、酵母や線虫ばかりでなく哺乳類であるマウスでも寿命が延びることが証明された。これはmTORの阻害が、種を超えた共通の老化システムに作用している可能性があるということです。それならばヒトでもその可能性があるということで注目を集めたのです。事実、その後も同様の内容が世界中の研究者から報告され、注目に拍車がかかっています」
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