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西郷輝彦さんに感じた爽やかさ “いい人オーラ”あふれるから人気が続いたのだ(本多正識/漫才作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月2日 9時26分

西郷輝彦さんに感じた爽やかさ “いい人オーラ”あふれるから人気が続いたのだ(本多正識/漫才作家)

西郷輝彦さん(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#276

 西郷輝彦

  ◇  ◇  ◇

 歌手として俳優として大活躍された「元祖御三家」のおひとり西郷輝彦さん。

 お会いした当時、西郷さんは50代になられていたと思いますが、押しも押されもせぬ大スターが驚くほど物腰もやわらかく、渋みがかった端正なお顔で年下の私に対しても姿勢を正し、少年のようなキラキラした目でまっすぐに見、がっちりと握手された姿が印象的でした。

 MCの(トミーズ)雅くんが「僕らは西郷さんといえば“もーやん”ですわ!」。1970年代に3年以上続いた大人気ドラマ「どてらい男(ヤツ)」(関西テレビ、フジテレビ系)の主役・山下猛造“もーやん”はこの世代にとっては憧れの存在。

 西郷さんいわく「当時はVTRのフィルムが高価で貴重品だったんで撮り直しをしないでそのまま撮影が続いたから大変でしたね」「もう一回いきますいうのんなし?」「なしなし。少々セリフを間違えてもそのままですよ。だから緊張感が凄かったですよ」「僕を呼んで下さった花登筐先生(劇作家)に本当に感謝ですね。あの経験が自信になったんでしょうね。あれ以降のドラマがすごくやりやすくなりました」。「どてらい男」以降は時代劇、現代劇を問わず俳優としての仕事がメインになり「たまに歌番組に出ると歌手時代の私を知らない若い方に“西郷さん歌もお上手なんですね”とか言われてました」、(雅くんが)「マジですか?」「マジですマジです」と楽しそうに笑っておられました。「星のフラメンコ」で一世を風靡しても、過去の栄光にとらわれず、とにかく真剣に話を聞かれて、真摯に答えて下さいました。

 最初の妻の辺見マリさんがインタビューで「(別れた後もずっと)尊敬しています」とお答えになっていました。亡くなられた際の追悼コメントでも「丁寧に教えて下さった」「いつも励ましていただいた」という人柄が偲ばれる言葉であふれていましたが、二十数年前も“いい人オーラ”があふれていました。これからやってみたいことを伺うと「いただいたお仕事を一生懸命にやらせていただく、それだけですね」と爽やかに目を輝かせてほほ笑んでおられました。

 番組終了後、姿勢を正してスタッフ一人一人に一礼をされ、さっそうとお帰りになられる姿からはなんともいえない“爽やかさ”が漂い、スタッフが皆、またご一緒したいと思ってしまう。こうした西郷さんの“人柄をオーラとして感じ取る”から人気になるのではないかと思います。本当にすがすがしいすてきな方でした。

(本多正識/漫才作家)

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