プーチン×金正恩でタッグ…ロシアが北朝鮮兵の受け入れ「プロジェクト・ボストーク」の勝算
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月2日 9時26分
ロ朝が「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結(C)Sputnik/ロイター
米大統領選まで1週間を切る中、ウクライナ侵攻に拘泥するロシアと北朝鮮が不穏な動きを強めている。
NHKによると、ロシアは北朝鮮兵の受け入れを「プロジェクト・ボストーク」(東方計画の意)と命名。実績のある空挺師団司令官を責任者に任命し、本格運用を進めているという。北朝鮮は31日、ICBM(大陸間弾道ミサイル)級の弾道ミサイルを発射。「これまでで最長の飛翔時間、最高の高度だと推定される」(中谷防衛相)という。独裁者2人は一体何をやらかすつもりなのか。
プーチン大統領と金正恩朝鮮労働党総書記は今年6月、事実上の軍事同盟「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結。どちらかが武力攻撃を受けて戦争状態になった際に、もう一方の国が軍事援助を提供するとの内容だ。批准、発効はこれからだが、そこは独裁国家。国内手続きはナアナアのようだ。
この1カ月、「暴風軍団」と呼ばれる特殊部隊を含む1万人規模の北朝鮮兵がロシア入りし、一部はウクライナが越境攻撃する西部クルスク州に移動。警戒を強める西側諸国は、1日未明の国連安保理緊急会合でロ朝に猛批判を浴びせたが、ロシアは「国際法に沿ったものだ」などと、歯牙にもかけなかった。
月2000ドルで「暴風軍団」投入
筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう指摘する。
「ロシア軍はウクライナ侵攻以降、61.5万人の死傷者を出しています。開戦から1000日が迫り、両軍ともドローン攻撃が中心で前線が動かない。そこへ北朝鮮兵を送り込み、面を取っていく作戦でしょう。数合わせゆえに脱走が珍しくないロシア兵に対し、献身的な戦闘が予想される北朝鮮兵の参戦にウクライナではかつてない恐怖が広がっている。ゼレンスキー政権は投降呼びかけに動いています」
韓国の国家情報院は、北朝鮮が兵士1人当たり月2000ドル(約30万円)相当をロシアから得ると見ている。実戦経験を積んで対価を得られる上、核・ミサイル開発などの軍事技術供与も受けられるとなれば、北朝鮮にとってもいいことずくめだ。
「もっとも、単純なバーターだけでロ朝が歩調を合わせるとは考えにくい。ロシアが停戦交渉を有利に進めるには、戦局の膠着を打開する必要があります。ウクライナに戦術核を撃ち込むと同時に、北朝鮮は米本土へ向けてICBMを発射する。共通の敵である米国に対処できるのか。破れかぶれのプーチン氏の頭の中には最悪のシナリオがあると見た方がいい」(中村逸郎氏)
首に鈴をつける猛者は現れないのか。
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