がんの自由診療でトラブル続々…原則NGでも、使ってOKの例外あり【中川恵一 がんサバイバーの知恵】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月2日 9時26分
トラブル相次ぎ、死亡例も
【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】
がんの自由診療を巡ってトラブルが相次いでいます。先月23日には、自由診療で「がん細胞が死ぬ」と勧められた点滴を投与された後に死亡した男性(当時46歳)の遺族がクリニック院長に935万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。25日には、厚労省が東京のクリニックでがんを予防する細胞療法を受けた2人に重大な感染症が発生したと発表しました。
特に亡くなったケースは悪辣で、国は悪徳医療を処罰する規制と法整備が必要でしょう。しかし残念ながら、効果不明の自由診療やサプリなどを利用するがん患者が少なくないのも事実です。そこで、今回はこの点について説明します。
一般の方にとって保険診療と自由診療の違いで大きいのは医療費でしょう。なぜ保険診療の医療費が公費で一部負担されて患者負担が安くなるかというと、保険適用となった薬や治療はすべて臨床試験で医学的な効果が認められたもので、裏づけがあります。ところが自由診療の薬や治療は、そうした医学的根拠が不十分なものが多いため保険適用になっていないのです。
ですから、自由診療には、原則、手を出してはいけません。サプリメントなどにはわずかなサンプルで機能性を検証したものもありますが、医薬品のような効能・効果を打ち出すことはできません。ましてや「抗がん効果」はもってのほかですから、これらもやめるべきでしょう。
しかし、自由診療の一部には例外もあります。海外では承認されている薬でも、日本では承認がかなり遅れることが珍しくありません。少し古い数字ですが、2020年に欧米で承認された243の薬剤のうち、日本では約7割の176種類が未承認で、保険診療では使えません。これらの薬を日本で使おうとすると自由診療になります。
こうした海外に比べて日本で薬の承認が遅れることをドラッグラグと呼びます。限られた治療法の中で国内で対処できなくなった患者さんが、海外に治療法を求めたくなるのは十分理解できますから、ドラッグロスの薬剤に限れば自由診療の薬剤も必要になる場面があるでしょう。
でも、それはやっぱり例外的と理解すべきでしょう。その例外という制限を外すと、冒頭のような怪しい治療法にまで手を伸ばすことになりますから。
(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)
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