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ワールドシリーズ7年ぶり高視聴率も…MLB機構が手放しで喜べない複雑事情(鈴村裕輔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月6日 11時32分

ワールドシリーズ7年ぶり高視聴率も…MLB機構が手放しで喜べない複雑事情(鈴村裕輔)

2024年ワールドシリーズはドジャースが制覇(C)ロイター/USA TODAY Sports

【メジャーリーグ通信】

 ワールドシリーズはドジャースが4勝1敗でヤンキースに勝利し、4年ぶり8度目の優勝を決めた。

 勝敗が決した第5戦は今回のシリーズで最も視聴率が高く、FOX、米国のヒスパニック系住民向けのスペイン語放送局FOX Deportes、ストリーミングを合わせて約1860万人が視聴した。また、全5試合の平均視聴率は過去5年間で最高となる6.9%であった。シリーズの平均視聴者数は1581万人で、2017年の1893万人以来、7年ぶりの高い数値を記録し、2010年以降では第4位の人数となった。

 第5戦の終盤では瞬間最大視聴者数となる2127万人が視聴しており、ニューヨークとロサンゼルスという米国の国内メディアにとって最も重要な2つの市場を本拠地とする両球団が43年ぶりに対決したシリーズにふさわしい結果となった。

 このような数字を見るだけなら、長年にわたり低落の傾向が続くワールドシリーズの視聴率や視聴者数が改善の兆しを示しているように思われるかもしれない。

 大谷翔平とアーロン・ジャッジという現在の球界を代表する2人の優れた打者の存在や、球界屈指の観客動員力を持つドジャースとヤンキースという組み合わせが奏功したと考えられるだろう。

 ただ、視聴率や視聴者数の改善がNFLやNBAに人気の点で後れを取っている大リーグにとって、朗報とばかりは言えない点には注意が必要である。

 なぜなら、日本と同様に米国においても視聴者のテレビ離れが進んでおり、例えば18歳から34歳の約3割がテレビを全く見ていないという調査や、最もテレビを視聴しているのは65歳以上という報告もあるからだ。

 これは、球場の観客に占める中高年の割合が上昇し、家族連れや10代や20代の若者たちが観戦する率が低下しているという事実と軌を一にする。

 テレビ界を視聴率の面で支えている中高年層が主に今回のワールドシリーズの中継を見ていたのであり、若年層の興味を引き付けられていない可能性が高いのである。

 若年層は今後社会の中心となる者たちであり、球界にとっては長期にわたり球場や放送を通して重要な顧客となる存在となる。こうした層を取りこぼしたり、他の競技に奪われていたりすればどうなるか。

 現在は放送局と高額の放映権料契約を結ぶことで十分な収入を確保し、分配金を通して戦力の均衡と自らの権力の向上を図っている機構にとって、いずれ現在の手法が通用しなくなることを意味する。機構が視聴率の上昇を素直に喜べない理由はここにある。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

  ◇  ◇  ◇

 ところで、来季の大谷の副収入はとんでもない額になりそうだ。いったい、いくら稼ぐのか。また、ドジャースが恩恵を受けた「大谷効果」はどれほどの規模なのか。両者の「驚愕すべき金額」とは。

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