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「永野&くるまのひっかかりニーチェ」独自の着眼点と高い熱量で視聴者を魅了する理由(鈴木旭/お笑い研究家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月7日 9時26分

「永野&くるまのひっかかりニーチェ」独自の着眼点と高い熱量で視聴者を魅了する理由(鈴木旭/お笑い研究家)

永野(左)と令和ロマンのくるま(C)日刊ゲンダイ

「永野&くるまのひっかかりニーチェ」(テレビ朝日系)のレギュラー放送がスタートした。今年7月に放送された「永野&くるま クレバーなクレーマー」と同じく、永野と令和ロマン・高比良くるまが再びSNSを賑わしそうだ。

 初回(10月2日)の放送では、冒頭から永野が「(番組スタッフを)俺が食わさなきゃ」と意気込み、学生バンドから始まったサザンオールスターズが大手芸能事務所「アミューズ」を背負う存在となったことを例に、番組がゴールデンへと昇格する未来が「見えちゃってる」と豪語。伝説のトーク番組「松本紳助」(日本テレビ系)を引き合いに出した時点で、ようやくくるまから「(あの番組に比べると)さすがにスケール小さい」とツッコミが入った。

 続く視聴者のひっかかりテーマのコーナーで、今度はくるまの分析力がスタジオを“制圧”する。「最近、陰キャの地位が高すぎる」という投稿に対して「YouTuberは暗い」と口火を切り、新潟のHIKAKINら雪国の出身者は一人遊びが得意で、それがYouTubeとマッチしたと力説。また、九州出身の永野ら“南お笑い”はベースが「宴会のお笑い」でボケが独立しており、会話メインで笑わせる関西文化とは異なるとの持論を展開した。

 最終的に“陰キャは、この日が沈んだら二度と昇らないと考えてしゃべり続ける”ため、陰キャの時代を「沈まぬ太陽である」と哲学者・ニーチェのごとく結論付けた永野とくるま。親子ほど年齢が離れた2人は、抜群の相性で第1回を駆け抜けた。

 彼らに共通するのは、テレビに馴染めなかった過去を持つことだ。永野は若手ならではの“尖り”が先行し、本心は「出たかった」にもかかわらず、「爆笑オンエアバトル」(NHK総合)に出演する芸人をディスっていた。

 また、大手芸能事務所・ホリプロを辞めフリーに転向(その後、フラットファイヴを経てグレープカンパニーに所属)。部屋にひきこもるどん底の時代を経てライブシーンでカルト的な人気を博すようになり、40歳にして「ラッセン」ネタでブレークした。

 一方のくるまは、“大学お笑い”で活躍し、NSC東京校を首席で卒業。しかし、デビュー間もなくは若手が出られるバラエティー番組が少なかったこともあり、どうアピールしてもチャンスを得られなかった。そのため、「M-1グランプリ」に注力するも程なくコロナ禍に。ライブ配信やYouTube動画が盛況を呈する中でM-1王者となっている。

「テレビに出たい」という思いを一度は断念し、外側からバラエティーを眺めてきた2人。だからこそ、彼ら独自の着眼点と高い熱量に説得力を感じ、魅了される視聴者が増えているのかもしれない。 

(お笑い研究家・鈴木旭)

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