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《千賀滉大の巻》育成から這い上がった右腕が持つ強烈な“自己”…何度も聞いた「それは違います」【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月8日 17時0分

《千賀滉大の巻》育成から這い上がった右腕が持つ強烈な“自己”…何度も聞いた「それは違います」【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

千賀滉大(C)ロイター/USA TODAY Sports

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#26

 千賀滉大

  ◇  ◇  ◇

 今でこそメジャーを舞台としているメッツの千賀滉大(31)ですが、入団当初はまったく無名の高校生でした。

 愛知県の蒲郡高校から2010年育成ドラフト4位で入団。本人も最初は「とんでもないところに来てしまった……」と周囲とのレベル差に愕然としていたと聞いています。千賀が活躍するようになってから、中日のスカウトが「地元の逸材を見逃したのか!」と球団に怒られたそうですが、いやいや、ここまで育つなんて誰にも想像できません。

 ただ、僕が聞いた話だと、千賀は肩の可動域が広かったようで、スカウトも「鍛えればモノになる」と踏んでいたとか。

 ハッキリした性格で自分の考えを明確に持っており、相手が誰だろうと違うことには「違います」と言う。なあなあで流したりはしない。インタビュー取材で、「それは違います」と何回聞いたことか……。

 自主トレ公開日に突然、「今日は投げませんから」と言い出したこともありました。最初はブルペン投球のことかと思いましたが、キャッチボールもしない。そもそも、ボールを握らないと聞いて、僕も「ウソやん……」と頭を抱えました。

 広報は選手とメディア、ファンをつなぐ仕事です。自主トレ公開日は報道陣が集まるのに、投手の千賀がボールすら握らないのでは、まったく絵にならない。当然、記者たちの疑問は、現場にいる僕に向けられます。その時は自主トレに参加していた他の選手の話題などでお茶を濁しましたが、「え? 千賀投げないの? なんで?」と困惑する記者たちの横で、肩身が狭かったものです(笑)。

 野球においては研究熱心で、常に「より良いものを」とフォーム改造でも試行錯誤を繰り返していました。2017年に出場したWBCで、マウンドの影響なのか、慣れない環境で投げたからなのか、フォームがグチャグチャになり、2年がかりで新たなものを作り上げたこともある。もっとも、フォームを崩しても2年連続13勝ですから、レベルが違う。

 国際試合といえば、21年の東京五輪。筑後の二軍施設に来て、獲得したメダルを机に置いて「みんな、触ったりしていいですよ」と太っ腹なところを見せていました。僕も小川GM補佐や山口寮長らと、首から金メダルをかけて写真を撮った(笑)。「五輪はみんなを代表して行っただけ。みんなの力があったからメダルを獲得できた」というのが千賀の思いだったんです。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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