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大谷は左肩関節唇の手術を逡巡せず! 回り道してでもベストを追求する「強靭メンタル」の証し

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月8日 11時36分

大谷は左肩関節唇の手術を逡巡せず! 回り道してでもベストを追求する「強靭メンタル」の証し

大谷翔平(C)ロイター/USA TODAY Sports

「推測はしたくない」

 日本時間7日、米テキサス州で開催中のGMミーティングでこう言ったのはドジャースのゴームズGM。左肩関節唇の手術を受けた大谷翔平(30)の投手としての復帰時期について明言を避けたのだ。

 8日、報道陣に対応したフリードマン編成本部長も「今の状態はいい。正確なリハビリの日程は確定できないが、一歩ずつ進めて様子を見ていく」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 ゴームズGMが投球プログラムをいったん中断したことを明かしたことなどを受けて、米紙「USAトゥデー」のボブ・ナイチンゲール記者はXに「3月に東京で行われるカブスとの開幕戦に登板する可能性は極めて低くなった」と記した。

 投手としての復帰が遅れることは、手術前から本人も承知していたはずだ。患部の状態によるのだろうが、初めての脱臼であれば手術を避ける選択肢もあったという医師も中にはいる。それでも大谷は手術に踏み切った。

 ここに彼の野球選手としてのスタンス、考え方が集約されているのではないか。

 過去2度の右肘靱帯修復手術に関して、本人はNHKのインタビューなどでこう話している。

「手術をしなくても150キロくらいなら投げられる感覚だった。でも、160キロとか、それ以上となると耐えられないだろうなと。思い切りパフォーマンスを出せる感覚がないと、うまくなれないし、ごまかしながら投げていても面白くないだろうなと」

何よりも睡眠を重要視、NYでも出歩かず

 右肘靱帯の修復手術をすれば、リハビリに1年以上、要する。かなりの回り道になるが、それでも自身にとって最大のパフォーマンスを発揮したい。患部の周囲の筋肉を鍛えたり、保存療法を選択する選手は多いけれども、ベストなパフォーマンスを発揮できる状態でなければ、技術は向上しないし、自身も納得できないというのだ。

 実際、最初の右肘手術から3年後の21年に投手として9勝、打者として46本塁打で最初のMVPを獲得。2度目の手術の翌年の今季は、新天地のドジャースで2年連続本塁打王や前代未聞の「50(54本塁打)-50(59盗塁)」を達成。手術のリハビリをしながらも、野手としてチームのワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。手術によって回り道をしても、年を追うごとに技術的に進化、優れたパフォーマンスを発揮している。

 食事は自らの嗜好を満たすためでなく、体づくりの一環としてとらえている。そして、何よりも睡眠を重要視している。楽しみが多いニューヨーク遠征だろうが球場と宿舎の往復だけで、外はほとんど出歩かない。そういったグラウンド外のスタンスも、すべてベストな状態で最良のパフォーマンスを発揮したいという思考の延長線上にあるのだ。

 迎える来季。想定外の左肩脱臼とその後の手術によって、投球プログラムは中断を余儀なくされた。投手としての復帰は遅れそうなものの、あくまでもベストの投球をするため。最良のパフォーマンスを発揮するためなら回り道も辞さず、体にメスを入れることもいとわない。

 大谷がメジャーでトップクラスの成績を残せるのは、その強靱なメンタルがあればこそなのだ。

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