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河村たかしさん国政に復帰 今も強く印象に残っていること(本多正識/漫才作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月9日 9時26分

河村たかしさん国政に復帰 今も強く印象に残っていること(本多正識/漫才作家)

河村たかしさん(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#217

 河村たかし

  ◇  ◇  ◇

 先の衆議院議員選挙で15年ぶりに国政に復帰された河村たかしさん。私が構成を担当していた朝のワイドショー「痛快!エブリデイ」(関西テレビ)で10年近く国会議員として出演していただいていました。

 キャッチフレーズは「総理をめざす男」。関西の雄弁な芸人さんたちの中に入っても勝るとも劣らない雄弁さと会話術と政治家としての押し出しの強さ。そして楽屋でも本番でも全く変わらない腰の低い対応。ニュース番組をはじめ、いろんな番組で多くの政治家と仕事をしましたが、本番中はニコニコしていても楽屋ではロクに返事もせず、ふんぞり返って秘書が取り仕切っている人たちを数多く見てきていたので、ご一緒した時は「こんなフランクな国会議員もいるんだ」と驚きました。

「国会議員を先生言うから勘違いする者が出てくるんでよ。有権者に選んでもろうた代理人いうことを忘れたらいかんでよ」とよく話しておられました。

 また、やさしい話を難しく聞かせる政治家はたくさんいますが、「例えて言うとじゃね~」と、誰が聞いてもわかるように噛み砕いてわかりやすく独特の間合いと愛嬌のある名古屋弁で政治を知らない人間にでもわかるように話してくださいました。

 NSCの講師目線で見ると「腰が低くて誰が相手でも態度を変えない」「できる限りわかりやすい言葉で話す」「独特の間を持っている」「キャラクターが確立している」というのは芸人として売れる要素もしっかり持っておられたことに気づきます。

 今でも強く印象に残っているのは、何百兆円と膨らみ続ける国の財政赤字の話の時のこと。「どないかできませのん?」と聞かれると、「なんの心配もありゃせんがね」と一言。「けど、ニュースでも新聞でも大赤字や、このままでは財政破綻するから税金上げなあかん言うてまっせ」と問われると「確かに赤字もあるけど、外国債とか国有地とかそれ以上の国有財産があるから相殺したらほとんどありゃへんよ」とキッパリ。ネットもあまり普及していない時代で、私も出演者らも初めて聞く話に「ホンマでっか?」と半信半疑でしたが、今なら河村さんの話が当たり前にわかります。

 後に名古屋市長になられると“税収が減る”という反対を押し切って、減税して数年後には増収に回復させました。「税収が減っとるから増税するんじゃなしに、減税して購買力を増やさにゃ税収は増えんのだで。ダマされたらいかんでよ」と当時から強く言っておられました。

“金メダル事件”はさすがに暴走しすぎたようですが、市長時代にご自身の給料を2000万円から800万円へ大幅にカットし、何かと金銭がらみの不透明さが多い議員の中で実績があり、大局的な視点を持ちながらボーダーをしっかり国民目線に定めている数少ない方なのは確かでしょう。

 本番が終わると「これから地元(名古屋)で集会だで」「東京で会議があるんで」とすぐに帰って行かれ、共演者と食事することもなく、いつもパワフルに仕事に戻って行かれていました。

 75歳でも自転車で選挙区を駆け回られた底知れぬ気力と体力。お元気で国民のための政治を貫いていただきたいと思います。

(本多正識/漫才作家)

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