ヒトパピローマウイルスへの感染で男性不妊になる? 微生物学専門誌で研究報告される
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月10日 9時26分
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
【医者も知らない医学の新常識】
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、主に性交渉で性器に感染し、子宮頸がんの原因となることで知られているウイルスです。その予防のためにHPVワクチンの接種が、主に10代の女性を対象として行われています。
しかし、HPVは女性にだけ感染するわけではありません。男性の感染も、尖圭コンジローマと呼ばれる皮膚のできもの、喉や肛門などのがんの原因になることが分かっています。そのため、任意接種ではあるものの、男性でもHPVワクチンを打つことが出来るのです。
HPVの感染が、体に与える影響はそればかりではありません。じつは男性の精液に、HPVウイルスの遺伝子が検出されることがあるのです。 今年の微生物学の専門誌に、それについての興味深い研究結果が報告されています。泌尿器科などを受診した205人の男性の精液のサンプルを解析したところ、そのうちの19%の精液でHPVの感染が確認されました。がんの原因になることが多い「高リスク型」と呼ばれるHPVに感染している男性は、感染していない男性と比較して、精子の壊死などの比率が高く、精子の機能が低下している可能性が示唆されました。
今回の機能低下は軽微なもので、それが男性不妊に結び付くとはまだ言えませんが、HPV感染の予防は、健康な男性機能の維持のために必要であるかもしれないのです。
(石原藤樹/「北品川藤クリニック」院長)
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