横綱照ノ富士が「引退できないジレンマ」から解放される日…在位20場所で12回目休場の崖っぷち
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月11日 11時32分
大の里(C)共同通信社
昨10日に初日を迎えた大相撲11月場所で新大関の大の里(24)は平戸海と対戦。出足が鈍く、もろ差しを許しながら、何とか勝利した。
そんな後進の白星発進に安堵のため息をついたのが、今場所休場した横綱照ノ富士(32)ではないか。
8日に休場届を提出し、10日に公表された診断書には「両変形性膝関節症、糖尿病で3週間の加療を要する見込み」とあった。先場所休場した際の診断書も同じ内容で3週間休んだところで焼け石に水。横綱在位20場所で12回目の休場と崖っぷちだが、横綱不在を避けるため、なかなか引退できないジレンマに苦しんでいる。
そこに現れたのが大の里という大器だ。入門2年目で大関に昇進したように、その強さは群を抜いている。横綱に昇進すれば、照ノ富士も心置きなく土俵を降りることができるだろう。
照ノ富士は2つの悩みを抱えていた。1つは横綱の後継者問題。もう1つが引退後の親方株だ。
事情に詳しい角界OBは「師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が定年延長を希望すると言われていましたからね」と、こう続ける。
「定年を迎えるのは来年7月。定年延長で再雇用なら5年間相撲協会に残れるが、部屋の運営責任者である師匠からは外れる。その際、後継者といわれる照ノ富士が取れる選択肢は2つ。他の親方株を入手して師匠の『伊勢ケ浜』株と交換するか、師匠の再雇用期間が終わるまで『照ノ富士親方』を名乗り、その後、株を継承するかです。前者は慢性的な株不足のために難しく、後者だと師匠が定年を迎える来年7月まで引退できない。横綱が引退後、しこ名で親方ができる期間は5年。株入手のメドが立たなければ、伊勢ケ浜親方の再雇用期間中に廃業に追い込まれますから」
しかし、ここにきて潮目が変わったという。
「伊勢ケ浜親方が定年延長をしない可能性が浮上しているのです。ならば引退して『照ノ富士親方』となり、師匠の退職と同時に株を継承するだけで済む。師匠が再雇用で得られるはずだった5年分の給料は照ノ富士が面倒を見るつもりなのでしょう。それでも株入手の難しさとは雲泥の差ですよ」(前出のOB)
悩みのタネだった親方株問題が解決となれば、あとは“後継者”だけ。それも大の里の躍進で何とかなるかもしれない。照ノ富士が重圧から解放されるのは、そう遠くはなさそうだ。
◇ ◇ ◇
大相撲と言えば、先場所限りで引退した貴景勝は、過去に2場所連続で「優勝に準ずる成績、優勝」しながら横綱になれなかった。いったいなぜか。貴乃花の元弟子だからなのか。日本相撲協会・八角理事長を直撃すると、意外な答えが返ってきた。
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