国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に突きつけた「4度目の勧告」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月12日 9時26分
もっと女性が活躍できる社会にしないと(C)日刊ゲンダイ
国連の女性差別撤廃委員会は10月29日、日本政府に対し選択的夫婦別姓制度の導入を求める「最終見解」を公表した。今回の指摘は2003年以降4度目の勧告となった。
男女平等社会の実現を目指し、男女共同参画社会基本法(1999年成立)で「最重要課題」と位置付け女性の活躍推進が叫ばれてきた。だが、国連の委員会から4度目の勧告を受けたことは、実際の政府の取り扱いが不十分だったことを示したといえる。人事労務問題の解決や女性活躍を推進している東レ経営研究所の宮原淳二部長が「4度目の勧告は驚きです」と述べたうえでこう続ける。
■世界から取り残される日本
「名字の違いは家族内で違和感があるとか、家族の一体感がなくなるといった理由で自民党議員らの強い反対が背景にありますが、別姓の導入は選択制です。希望する女性が選択すればよいだけのことです。夫婦別姓の導入を早急に実現しなければ世界から取り残されます」
世界各国の男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数で日本は146カ国中118位。先進国G7中では最下位だ(2024年報告書)。象徴的なのが政治、経済の順位の低さだ。今回の衆議院選挙で立候補者1344人のうち女性は314人と過去最高だったものの全体の23.36%、当選者は73人と当選者全体の15.7%にとどまっている。女性議員を増やすにはまず候補者数増が必要だが、25年までに女性候補者の割合を35%にする政府目標には遠く及ばない。
経済面でも女性が管理職に占める割合は先の指数では130位と低い。厚生労働省の23年雇用均等基本調査を見ると部長相当職7.9%、課長相当職12%、係長相当職19.5%と前年からほとんど変わっていない。経団連が10月に発表した東証プライム市場1637社の女性役員比率は16.1%と前年比2.8ポイント伸びた。25年に19%、30年までに30%以上にする政府目標だが、現在は外部招聘した役員が増えた企業が多く、社内出身の女性役員の比率を増やすことが課題だ。
日本全国の女性社長は64万9262人、前年比3万7038人増加し、全国の社長の15.24%と初めて15%を超えた(東京商工リサーチ10月22日発表)。女性活躍推進で企業を巻き込んだ女性活躍をサポートする取り組みは広がりつつあるが、男女共同参画社会基本法の「最重要課題」としての政府の取り扱いは必ずしも十分とは言えない。先の宮原氏が言う。
「男女の人口比率から見たら女性社長も管理職、議員数もせめて30%は欲しい。多様性の観点から男女双方に一定の比率を割り当てるクオータ制を取り入れる時期に来ています」
早期の対応が求められる。
(ジャーナリスト・木野活明)
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