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【ドラフト家庭の事情】広島1位・佐々木泰の父は会社社長 熱を入れた息子の野球応援が「2億円」の事業に化けた

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月13日 9時26分

【ドラフト家庭の事情】広島1位・佐々木泰の父は会社社長 熱を入れた息子の野球応援が「2億円」の事業に化けた

広島・新井監督と佐々木泰(C)日刊ゲンダイ

【24年ドラフト選手の“家庭の事情”】#2

 佐々木泰
 (広島1位/青山学院大・21歳・内野手)

  ◇  ◇  ◇

「大誤算でした。もともと私も妻も会社員生活に疲弊していて、親父が経営していた会社に入れば少しは楽できると思っていたんですけどね(笑)」

 苦境の時代をこう振り返る父・貴さん(62)は、従業員75人を抱える製造会社「ステラ金属株式会社」の代表取締役社長を務める。

 26歳で純子さん(62)と結婚。貴さんは機械メーカー、純子さんは服飾メーカーに勤務していたが、結婚の翌年に退職し、家業を手伝うことになったものの……。

「従業員は20人ほどいましたが、まさに破綻寸前でした。これはとんでもないところに来てしまったなと。元いた会社には戻ろうにも戻れないし、毎日頭を抱えながら新規販路開拓や技術転用による新製品開発などガムシャラになって働きました。妻にもフォークリフトやトラックを運転してもらったりして……」

 もともと自転車のカゴや子供を乗せる補助席などを製造していた。

 インテリアや販売店の商品陳列棚などの日用の什器を扱い始めて経営難から脱出。驚異的なV字回復を成し遂げて、現在に至る。

 夫妻は、第1子である長男を36歳、次男の佐々木を40歳で授かった。野球経験はなく、夫婦ともにスポーツとは縁がなかったが、長男が地元の少年野球チーム「小野野球少年団」に入団したことで、幼稚園児だった佐々木も兄を追って入団した。貴さんが言う。

「それからというもの、泰は長男の友達に交ざって暇さえあれば野球をしていました。運動神経はそこで培われたのかな。ただ、近場の公園では全力で練習できません。息子たちがあまりにも熱を入れるものだから、泰が小2の時にサプライズを計画した。ウチの会社で使わなくなった工場跡地に練習場を造ろう、と。幅約5メートル×15メートルの敷地に、高さ3メートルのネットを張り、地面には人工芝を敷き詰め、ピッチングマシンを置いて。夏の暑い日に汗だくになりながら3日ほどで完成させました」

 貴さんは息子2人の成長を見守るうちにすっかり野球にのめり込み、家族でプロ野球観戦に足しげく通うようになった。当時の小野野球少年団の活動は土日のみ。必ずしも強豪チームとはいえなかったが、負けるたびにもどかしさが募った。

チームに依頼されて野球用具を作ってみたら…

「土日の活動だけでは勝てるようになりません。ピッチングマシンをもう1台導入して、チームの子供たちが毎日練習できるように場所を開放したんです。人数が増えて手狭になったものだから、隣に借りていた駐車場スペースにもネットを張り巡らせて、夜も使えるように照明を設置。ホワイトボードに選手の名札を張って、みんなが練習できるようにローテーションのメニューを考えたことも。素人ながら子供たちにアドバイスをしたこともあります(笑)。土日の活動は応援のみにとどめましたけどね」

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