石川遼の迷いがないゴルフから「御殿場」との相性のよさを感じた...16度目の出場で4度目V(羽川豊)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月13日 9時26分
コースマネジメントも光った(C)共同通信社
【羽川豊の視点 Weekly Watch】
三井住友VISA太平洋マスターズで、石川遼が大会最多の4勝目を挙げました。16度目の出場で4度目の優勝です。会場の「太平洋御殿場」とは、よほど相性がいいのでしょう。
プロ野球の投手でも球場によって、「ここのマウンドは投げやすい」「何となくしっくりこない」という感覚があるそうですが、プロゴルファーも同じです。ティーイングエリアに立ったとき、どこに打てばいいのか、すぐにイメージできるホールがある一方、どういうわけだか構えづらいホールもある。「御殿場」はフェアウエーは狭くはないものの、ドッグレッグや左右の林、フェアウエーにはスタイミーになる樹木があったりと、ティーショットを「点」で狙わせるコースです。打っていくポイントが明確にならなければスコアになりません。
また、段差の激しい18番が象徴的ですが、グリーンを狙うショットも高い精度が求められる。国内においてはプロの技術を引き出す数少ないコースのひとつと言えます。
石川はやや左ドッグレッグの18番パー5のティーショットをスプーンで打ち、確実にフェアウエーへ運ぶと、残り230ヤードを得意の3番ユーティリティー(UT)で8メートルへ2オン。2パットのバーディーで逆転勝ちを収めました。左へのミスを抑えるため、ドライバーのティーアップを極端に低くするなど、これまでの経験を生かしたマネジメントも光り、終始、冷静なプレーが印象的でした。
その18番はグリーン右手前に大きな池があり、2打目の果敢なショットが優勝につながりましたが、対照的だったのは伊藤園女子の安田祐香と米女子ツアー・ロッテ選手権の畑岡奈紗です。
この2大会の18番グリーンも池が効いています。首位から1打ビハインドの安田の第2打は左奥のピンに向かって飛んでいきましたが、ボールは左奥の池へ落ちました。ピン右からのバーディーパットでもよかったと考えていたそうですが、「ボールが少しつかまってしまった」と言います。安全策を取ればこのようなミスはしませんが、左の池を怖がりピン右10メートルに乗せたところでファンは興ざめでしょう。
畑岡も16番で首位に1打差に迫りながら、17番で7メートルのバーディーチャンスから3パット。18番パー5の第2打は3UTでグリーンを狙い、右手前の池の縁につかまりボギーでした。
両者とも攻める気持ちが裏目に出たわけですが、追う立場の者が逃げていては勝負になりません。攻めた結果のミスは必ず次につながります。
さて、日米の女子ツアーは残り2試合。来季のシード選手は次戦で決まります。米ツアーは、ポイントランキングで当落線上の80位にいる勝みなみ、ロッテ選手権の5位で100位までランクを上げた吉田優利の粘りに期待します。
(羽川豊/プロゴルファー)
◇ ◇ ◇
それにしても、国内男子ツアーの人気低迷ぶりは悲惨の一言に尽きる。日程は虫食い状態で録画放送がはびこっている。いったいなぜ、こんな事態になっているのか。その「元凶」とは。
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