「畳む前に考えたいM&A」地方の親族企業や親の営む定食屋も、売却の選択肢がある
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月13日 9時26分
廃業すべきか?(C)日刊ゲンダイ
経営者の高齢化や後継者不在によって廃業になる企業は増えている。中には、希少価値の高い技術を持っていたり業績には問題がなかったりと、事業としての価値が高いにもかかわらず廃業するケースもある。そのような場合、有効な選択肢の一つがM&Aである。これはいわゆる中小企業に限らず、親族経営の零細企業や地方で高齢の両親が営む飲食店も同じ。
M&Aと聞くと会社を身売りするイメージがあるかもしれない。しかし『経営者のゴール:M&Aで会社を売却すること、その後の人生のこと』(あさ出版)の著書であり、自身もM&Aで会社を売却した芳子ビューエル氏は「あくまでも経営者の選択肢の一つ」だという。
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こんなエピソードがある。芳子氏がプライベートであるうどん屋へ行った時だ。オーナーらしき老夫婦が廃業について話していたというが、そのうどん屋は客の回転率も高く、非常に儲かっている様子で、それを見て「売却すればいいのに」と思ったそうだ。
「今ある事業をどうしようかと行き詰まったとき、廃業することしか考えてない人がすごく多いと感じます。でも、その事業の本当の価値というのは、経営している本人も気付かないところにあると私は思います。だからM&Aには第三者の視点が必要なんです。その視点を持つのがM&Aの仲介業者だと思います」
芳子氏はもともと二つの会社を経営していたが、2012年に一社をM&Aにより売却。しかも売却後、雇われ社長として8年間も同社の経営に携わり、売却前に約13億円だった売上を約44億円にまで成長させた後、会社を去った。こういうユニークな方法もあるのだ。
芳子氏によるとM&Aは結婚に喩えられるという。例えば仲人……つまり仲介業者に間に入ってもらう方がスムーズに進む。なぜなら、金銭的な話やシビアな話も多いため、当事者どうしだと話を進めるのが難しい場合も多々あるからだ。
また、間に入る仲介業者は一社でも、売り手側と買い手側それぞれに担当者がいる方がよいという。同じ担当者が一人で担当すると、売り手と買い手の利益相反が起こる場合、一方だけに肩入れしてしまう可能性があるからだ。民事裁判においては、原告・被告の双方に別々の弁護士がつくことを考えると、より分かりやすいかもしれない。
また芳子氏はそのタイミングについて、「40代後半になってきたら一度きちんと考えてみる方がいい」とアドバイスする。
「当たり前ですが、人間は死を迎える時期が分からない中で生きている。経営者も会社も体力があるうちにM&Aを検討することが必要です」
思い当たる経営者はもちろん、高齢の親や親族の事業をどうするか決めかねている会社員もこの機会に検討してみてはいかがだろうか。
(取材・文=廣石健悟)
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潰れない中小企業とは?●関連記事『【もっと読む】潰れそうになっても潰れない…100年続く中小企業の仕組み 創業200年以上の企業の65%は日本に』に詳しい。
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