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《松田宣浩の巻》死球禍に思わず弱音、まったく熱くなかった若手時代「このままだと年俸5000万円以上取れない…」【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月14日 9時26分

《松田宣浩の巻》死球禍に思わず弱音、まったく熱くなかった若手時代「このままだと年俸5000万円以上取れない…」【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

松田宣浩(C)日刊ゲンダイ

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#27

 松田宣浩

  ◇  ◇  ◇

 2015年のチームスローガンだった「熱男」を自らの代名詞にしたのが、松田宣浩(41)です。

 ホームランを打つと、ベンチ前で右拳を突き出し、「あつおー!」と絶叫。自軍の攻撃中はベンチから声をガンガン出し、ナインを鼓舞していました。入団3年目の08年には現監督の小久保裕紀を実力で三塁から一塁に追いやりましたが、入団当初は真逆の性格だったんです。

 若い頃は集中力に欠けている面があり、1対1で話している最中でも時折ふっと別のことに意識を取られてしまう。声もまったく出さず、二軍戦での三塁守備中、「おい、サードまったく声出さんやん!」と怒られたこともありました。

 それが変わってきたのは、一軍で川崎宗則の影響を受けたからでしょう。声出しの重要さを学び、川崎がメジャーに移籍してからは、率先してチームを引っ張るようになった。ただ、川崎の「チェスト」の真似なのか、ヒーローインタビューで「僕の故郷(滋賀県)の琵琶湖まで飛ばします!」と言った際は、僕らも観客もポカーン。完全に滑っていました(笑)。

 体力は新人時代からケタ外れ。新人合同自主トレでは坂道ダッシュの本数を競うメニューがあり、松田の記録はまだ誰にも破られていません。走れと言われたら、いつまでも走っていられる。ホークスで長くコンディショニングコーチを務めた川村隆史さんが、「松田はモノが違う」と驚いていたほどです。

 体が強い半面、死球によるケガが多く、「俺、このままだと年俸5000万円以上取れないじゃないですか……。レギュラー取れないですよ」と、こぼしていたこともありました。そんな松田が試行錯誤の末に決断したのが、「ベースから離れて立つ」でした。松田が「これで当てられたらやばいっしょ」と立った位置は、普通の打者への内角攻めがど真ん中になるくらい。

 僕は投手時代、内角に投げる時はバッターボックスとベースの間の白線を狙っていました。死球のおそれはありますが、それ以上ベース寄りに投げたら、甘くなった時に一発や長打を浴びかねない。だとしても、ベースから離れた松田に当てるほど内角に投げる投手はいません。

「マッチの位置で当てる投手がいたら、そりゃもう野球選手ちゃうわ」

 と、僕も松田に言ったものです。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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