トライアウト消滅で危惧されるクビ選手の「ホームレス化」…受験経験のある球界OBが語ったリアルな声
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月15日 9時26分
急きょ参戦した陽岱鋼(C)日刊ゲンダイ
「今年最後って聞いていたので、1回経験してみたいなと」
こう言ったのは、かつて日本ハムや巨人でプレーした陽岱鋼(37)。昨14日に行われた12球団合同トライアウトに緊急参戦し、肩と足をアピールした陽は今季、二軍の新規球団である新潟のオイシックスに所属。NPB復帰を目指しているという。
陽が言及したように、トライアウトは今季限りで消滅する可能性がある。参加者は昨年より10人少ない45名。阪神からの参加者はゼロで、うち32人が投手。野手が少ないため、スタッフが守備に就いた。
近年の参加者は投手ばかりだ。シート打撃で投手は3人の打者との対戦するが、野手が少ないため、1人の野手が5回、6回…と、多くの打席に立つのが恒例となっている。
このトライアウトを巡っては今年8月、NPBと選手会の事務折衝で来以降の運用について話し合いが行われ、選手関係委員会の委員長を務める広島・鈴木球団本部長が「昔のようにトライアウトの一打とか一球で(獲得を)決めることは、もうない」と、今季限りでの廃止を提案。存続を希望する選手会の森事務局長は、「球団側からはトライアウトを見て取ることはないので、選手会(主催)でやってもいいんじゃないかという話もあった」と、事実上の廃止になる公算が高まっている。
かつては、中日の落合博満監督が「トライアウトは宝の山」と話すなど、貴重な補強の場となっていた。この日は、ZOZOマリンでの開催とあって、ロッテの吉井監督がトライアウトを視察したが、近年は形骸化の一途を辿っているのが実情だ。
2020年には、引退から10年以上が経過した新庄剛志(現日本ハム監督)が参加するなどイベント化しており、新天地が決まる選手はごく一握り。今年参加しなかった元阪神の加治屋蓮はすでに、楽天が調査していると報じられるなど、引きがある選手はトライアウトの参加、不参加に関わらず、移籍先が決まっていることが多い。
現役ドラフトにシフトチェンジ
トライアウトの結果を踏まえて、改めて入団テストをやってみよう、育成契約で拾ってみよう、というケースはゼロではないが、参加選手は携帯片手に眠れない日々を過ごしても、報われる可能性は極めて低いのだ。
しかも、トライアウトを経て、NPB復帰を目指す戦力外選手の受け皿として期待された、今季から二軍球団として新規参入した新潟オイシックス、静岡くふうハヤテからのNPB復帰選手は今のところゼロである。
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