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稲盛和夫氏が母校の生徒に強く訴えた「思い」の大切さ…心が運命を決めると説いたワケ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月15日 9時26分

 しかし、今から1万年ほど前に、人類は自分たちで生産手段を持ち、穀物を栽培し、家畜を養って食べるという農耕牧畜の時代へと移っていきました。狩猟採集の時代には、人類は自分たちの意志だけで生きていくことはできませんでした。それが農耕牧畜によって自然のおきてから離れ、自分たちの意志で生きていけるようになったのです。

 そして、およそ250年前に産業革命が起こりました。人類は蒸気機関を手に入れ、工場で多くの機械を使い、さまざまな製品を生産するようになりました。

 それからというもの、人類は次から次へと発明発見を行い、科学技術が著しく進歩し、今日のすばらしい文明社会がつくられていきました。悠久の歴史の中で、わずか250年という短い時間で、人類は豊かな文明社会を築き上げたのです。

なぜ「思いつき」がとても大事なのか?

 なぜ、これほどまでに科学技術が発達してきたのでしょうか。それはとりもなおさず、人間が本来持っている「思い」というものがもとになっています。

 人は誰でも、「こうしたい」「こういうものがあったら便利だ」「もしこういうことが可能ならば」という「思い」が、心に浮かんできます。例えば、今まで歩いたり走ったりしていたところを、「もっと速く、便利に移動する方法はないだろうか」と思い、そこから「新しい乗り物がほしい」という夢のような「思い」を抱くようになります。

 そして、その夢のような「思い」が強い動機となって、人間は実際に新しいものをつくっていきます。何度も失敗を繰り返しながら、新しい乗り物をつくり出していくのです。そのようにして、ある人は自転車というものを考案しました。またある人は自動車を発明し、またある人は飛行機をつくりました。

 そういう具体的なものを発明し、つくっていく際には、頭で考え、研究しなければなりませんが、その発端となるのは、心の中にふっと湧いた「思いつき」です。

 一般には、よく「そんな思いつきで、ものを言うな」と言われるように、「思いつき」というのは軽いことだと思われがちです。

 しかし、実はその「思いつき」こそが非常に大事なのです。人の心に浮かんださまざまな「思いつき」が発明発見の原動力となり、今日の科学技術を生み出したのです。このように、「思う」ということは物事の出発点となります。人間の行動は、まず心に「思う」ことから始まるわけです。

 この「思う」ということがなければ、人間は何も行動を起こすことができません。多くの人は、「思う」ことを簡単なことだととらえ、軽んじていますが、「思う」ことほど大事なものは他にありません。

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