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勝てる「盗塁㊙技術」教えます...クセが出るのは投手の右足と首(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月18日 9時26分

勝てる「盗塁㊙技術」教えます...クセが出るのは投手の右足と首(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

盗塁は文字通り「盗める」かどうか(C)日刊ゲンダイ

【松坂、筒香を育てた小倉清一郎 鬼の秘伝書】#212

 野球は難しい。1に投手、2に打撃、3の守備には捕球と送球という2つの違う動作がある。4に走塁、5は頭だ。

 サッカーにしろバスケットボールにしろ、やることは攻撃と守備、大きく分けて2つだ。他の競技と比べ、野球は全く違うプレーをいくつもすることになるため、どうしてもミスが多くなる。さらに野球とゴルフは試合中に考える時間が長いスポーツ。その分、複雑で「野球脳」も必要になる。

 ここで紹介したいのは4の「盗塁」だ。高校生なら、新チームになった7、8月の間に練習試合を25~40試合ほど行うとして、センバツをかけた秋の県大会準々決勝くらいまでに盗塁の技術をモノにしておきたい。

 指導者に声を大にして言いたいのは、アウトになっても決して怒ってはいけないということ。怒られると選手は走れなくなる。「スタートが遅れた」など、原因を確認することが重要だ。

 まずはリード。大谷翔平は4メートル近いが、高校生が大きく取ると、帰塁の方に意識が行ってしまい、スタートが切れなくなる。右投手の場合、背中越しに走者が見えるのは一塁ベースから3メートルほど。いいスタートを切るためのリードは、これくらいでいい。

 注意するのは牽制だが、右投手が一塁へ投げてくる際、一塁側へ踏み出した左足が着地した後に右足をひねる牽制は速いため、注意が必要。逆に右足を早く返してしまう投手は、牽制と判別がしやすく、帰塁が容易になる。投手の首の動きにもクセが出るため、右足と首を凝視することだ。

 セットポジションの静止時間にも投手のクセが出る。4~6秒、7~8秒などいろいろあるが、2~3秒が最も多く、これが走りやすい。投手には必ず自分のタイミングがあるから、早く見つけることだ。

 一方、セットで長く持たれると走りにくい。だったら「投手は長く持てばいい」と思うだろうが、投手は長く持つと走られないと思い、牽制を投げない傾向がある。さらに、持ち過ぎるとリズムが崩れるため、コントロールが乱れることが多い。試合序盤に牽制の足の運びやセットの時間を把握する必要がある。 

 リードの構えは右足をオープン気味に、上体は高過ぎず低過ぎず。スタートの局面は左足の母指球で地面を蹴って、足をクロスした形でスタートする「クロスオーバーステップ」がいい。以上が大まかな「モーションを盗む作業」だ。

 盗塁のサインが出たら、打者は1ストライクまでは見逃すこと。1ストライク後は追い込まれてしまうため、打っていい。ただし、一塁走者が好スタートを切った場合、たとえ追い込まれることになっても、見逃して盗塁を成功させて欲しい。

 投球に集中している打者が一塁走者のスタートを見るのは難しいが、秋に限らず、最後の夏の大会まで練習試合などで反復すれば、分かるようになる。

 飛ばないバットが導入された高校野球で「盗める」チームは、勝てる条件になる。

(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

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