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1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月19日 11時12分

1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に

フリーハンドだが…(日銀の植田和男総裁)/(C)共同通信社

 輸入インフレが再燃しそうだ。日銀の植田総裁は18日、名古屋市内の講演で、今後の利上げのタイミングについて「先行きの経済・物価・金融情勢次第だ」と発言。「毎回の金融政策決定会合で経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく」と強調した。

 米国のトランプ前大統領が返り咲いたことで、円相場は先週末、一時156円台にまで下落。加藤財務相が「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と牽制していただけに、今年7月に続いて12月に追加利上げに踏み込むのかどうか、市場関係者は植田氏の講演に固唾をのんだ。

 ところが、フタを開けてみれば何のことはない。タカ派的な発言はなく、「様子見」の姿勢は従来通り。

 1ドル=153円台で取引されていた円相場は、植田発言を受けて早期利上げの見方が後退し、一時1ドル=155円台前半まで下がった。

 今年4月29日に一時160円台と34年ぶりの円安水準をつけ、政府・日銀が為替介入したのは記憶に新しい。再び160円台の大台に乗ってしまうのか。円安基調に歯止めはかからないのか。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

「来年1月に発足するトランプ政権の政策は減税と高関税が軸。インフレ圧力が高まるのは必至で、米国では利下げできない環境が続くと予想されます。日銀が大胆な利上げに踏み切らない限り、円安・ドル高の基調が続くでしょう。ただ、植田総裁も会見で言葉の端々に円安による弊害をにじませており、本音は12月利上げも辞さない構えではないか」

■埋まらない日米金利差

 植田氏は利上げのタイミングを明言しなかったが、現状、利上げしやすい環境が整っているという。

「総選挙で大敗した石破政権が今後どうなるか見通せない状況の中、林官房長官は金融政策について『日銀に委ねられるべき』と明言しています。国内の政治的圧力が和らいだ環境であり、国外からのプレッシャーもない。トランプ次期大統領は円安に批判的で、円高は大歓迎。いわば日銀は利上げに関してフリーハンドの状態なのです。日銀にはチャンスですが、たとえ12月に追加利上げしたとしても、7月と同じ0.25%程度の小幅な利上げでは、米国のインフレ政策に引っ張られて日米の金利差は埋まらない。ジワジワと円安が進み、再び160円台を突破する可能性は否めません」(斎藤満氏)

 いい加減、値上げラッシュは勘弁してほしい。

  ◇  ◇  ◇

 来年1月の政権発足を前に人事を本格化させているトランプ次期米大統領。クセの強いメンツを並べて政権を維持できるのかどうか。●関連記事【もっと読む】『気になる米トランプ新政権の行方…“スネ傷”の面々が続々と閣僚内定のトンデモ人事』も合わせてどうぞ。

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