MLBが「国際ドラフト構想」でひっそり進める日本のアマ選手「青田買い」のシナリオ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月20日 9時26分
今オフのFA市場の目玉でドミニカ出身のソト(前ヤンキース)らは国際ドラフト実施には反対の立場を表明している(C)ロイター/USA TODAY Sports
メジャーのオーナー会議が、あす(日本時間20日)ニューヨークで開幕する。
各球団のミリオネア、ビリオネアが一堂に介する同会議は主にMLBの決議事項の審査、承認が主な役割だが、オーナー側から議題が提出されることもある。
複数の米メディアによれば今回、経営者サイドが提案するとみられているのが、ドラフト対象国を現行の米国、カナダ、プエルトリコ以外の国・地域に拡大する「インターナショナル・ドラフト」の開催だという。
開幕直前の3月まで紛糾した2023年の労使交渉ではオーナー側と選手会側で最後まで折り合いが付かなかったが、現在もMLBのワーキンググループが継続して審議している。
現行のドラフト制度でドミニカ共和国を中心とした中南米諸国出身選手を獲得する際、上限が定められているとはいえ、若手有望株は契約金が高止まり。ここにきて、パドレスが年齢を詐称したドミニカ出身選手と約4億5000万円で契約したことが明らかになるなど、依然として裏では詐欺師のようなブローカーが暗躍している。
有力な高校生や大学生が契約金の上積みを狙って、米国内でも中南米諸国など第3国に国籍を変更して各球団と自由に交渉可能なドラフト指名逃れも横行。本来であれば平均約7億4000万円で獲得できる1巡目クラスの選手でも、国籍を変えることで、2倍近い契約金を手にするケースが少なくないのだという。
今回、MLBが国際ドラフト導入を改めて検討している背景のひとつに日本人選手対策もある。今オフは、ロッテ・佐々木朗希がポスティングシステムでメジャー移籍を表明しているが、ここ数年はドジャース・大谷翔平(30)の活躍もあって日本人バブルに沸いているからだ。22年には吉田正尚(31)がレッドソックスと5年126億円、23年には千賀滉大(31)がメッツと5年110億円で、それぞれ大型契約した。
NPBで実績を残した選手を高値で契約するよりも、契約金が安価で済むドラフトで将来性のある高校生、大学生の青田買いを目論んでいるのだ。
MLBは市場拡大を図るため、野球の国際化を進めており、多くの国・地域で選手の発掘を行っている。国際ドラフトの実施が正式に決まれば、メジャーの選手供給源である日本のアマ選手が挙って流出することにつながりそうだ。
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