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ヤンキースのオーナー「スタインブレナー家」の変化を告げるレイズ救済…かつてはことあるごとに敵愾心も

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月20日 9時26分

ヤンキースのオーナー「スタインブレナー家」の変化を告げるレイズ救済…かつてはことあるごとに敵愾心も

先代オーナーのジョージ・スタインブレナー氏(C)日刊ゲンダイ

【メジャーリーグ通信】

 米国の気象史上5番目に大きな勢力であり、フロリダ州に上陸したハリケーン・ミルトンは、レイズの本拠地トロピカーナ・フィールドにも大きな被害を与えた。

 屋根が大破し、折れ曲がった鉄骨がむき出しになった様子は世界中に配信され、その損害の大きさを印象付けた。復旧には5570万ドル(約86億円)がかかり、しかも2025年のシーズン中には工事が終了しない見通しとなったため、レイズは早急に代替球場を探し出す必要があった。

 そのような中で手を差し伸べたのがヤンキースで、レイズは2025年の本拠地試合をジョージ・M・スタインブレナー・フィールドで開催することになった。

 タンパ・ターポンズとフロリダ・コンプレックスリーグ・ヤンキースというヤンキースのA級とルーキークラスの2球団が本拠地とするのがスタインブレナー・フィールドである。

 ヤンキースがスプリングトレーニングのエキシビションゲームで使用することもあり、マイナーリーグA級の球団の本拠地としては例外的に規模の大きい1万1000人が収容可能である。今季の1試合平均の観客動員数が1万6515人であったレイズが、声明の中で「タンパ地区において大リーグの試合を行うのに最も適している」と指摘したのも当然といえよう。

 今回の措置は1966年にガルフ・コーストリーグ・ヤンキースを創設して以来、タンパとの関わりを密接にしてきたヤンキースが本拠地を一時的に失ったレイズの窮状を救ったことになる

 だが、2010年に没し、球場名にその名を残す先代オーナーのジョージ・スタインブレナーの時代を考えれば、ヤンキースがレイズに友好的な態度を示すことは隔世の感がある。

 なぜなら、スタインブレナーはヤンキースの縄張りと考えていたタンパに、しかも同一リーグの同一地区にメジャーリーグ球団が本拠を構えることを喜ばず、ことあるごとに敵愾心を示していたからだ。

 1973年にヤンキースを買収して以降、球界の頂点に立つためであればフリーエージェントとなった有力選手と積極的に契約を結び、ビリー・マーチンを5回にわたって監督に据え、5回解任するなど、あらゆる手段を用いたのがスタインブレナーだった。そこには、ヤンキースこそが人生の全てであるというスタインブレナーの強い意志が表れていた。

 しかし、息子である現任のハル・スタインブレナーにとって、ヤンキースを所有することは人生そのものではなく、事業のひとつでしかない。今や大リーグで最古参の球団所有者となったスタインブレナー家にも、着実に変化が起きているのである。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

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